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DAOとは?新しいビジネスモデルの特長を詳しく解説!

2024年09月21日
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金子賢司
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。
以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。

会社やNPO法人など、何らかの組織を経営・運営している方や、これから設立しようとお考えの方は、「DAO」という単語を見聞きした経験があるかもしれません。DAOとは「自律的分散組織」のことで、近年、DAOを活用した新しいビジネスモデルが注目されています。

本記事では、DAOがどのようなものなのかを詳しく解説した上で、組織形態としてDAOを選択するメリットや、DAOを活用したビジネスモデルの具体例、DAOの課題もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

 

DAOとは

DAOとは、「Decentralized Autonomous Organization」の略で、日本語では「分散型自律組織」と訳されます。従来の中央集権型組織(会社など)とは異なり、参加者同士がフラットな関係を維持しながら、分散型のプラットフォーム上で互いに協力して組織を運営する仕組みです。

特定の管理者・リーダーが存在しなくても、ブロックチェーン上のスマートコントラクトによって自律的に意思決定がなされることから、近年、新しい組織形態として注目されており、DAOを活用したビジネスモデルが増加しつつあります。

 

DAOの目的は多種多様

DAOの目的は、多種多様です。営利目的のDAOもあれば、社会貢献を目的とするDAOもあります(具体例は後述)。

なお、DAOの参加メンバーは、プロジェクトに貢献することでトークンを獲得することが可能です。

 

DAOの歴史的展開

DAOは、ブロックチェーン技術の発展と共に進化してきました。ビットコインが登場してから現在に至るまでの歴史を振り返ると、発展段階を「DAO1.0」「DAO2.0」「DAO3.0」の3つに区分することが可能です。以下、それぞれについて詳しく説明します。

 

DAO1.0

DAO1.0は、ビットコイン誕生後、しばらくの間展開されたDAOの形態で、あらかじめ決められたプロトコルを自動実行することで多数の参加者の行動を調整する仕組みです。

なお、DAO1.0で対応可能な事柄としては、取引データの確認・承認、新規ビットコインの産出などが挙げられます。DAO2.0以降に比べると、対応可能な事柄が限定されていました。

 

DAO2.0

DAO2.0は、イーサリアムなどで実装された「スマートコントラクト機能」により、自動実行されるプロトコルが拡張されたDAOです。

なお、DAO2.0の登場で、DApps(分散型アプリケーション)の作成・実行が可能になったほか、DeFi(分散型金融)といったサービス・概念も誕生しました。

 

DAO3.0

DAO3.0は、ブロックチェーン技術によって発行されたトークンやNFTを「参加券」のようなものとして取り扱い、コミュニティを成り立たせるDAOです。

参加するためにはトークンやNFTを保有する必要がありますが、コミュニティの運営自体はプロトコルで自動的に実行されるわけではありません。掲示板などで議論が交わされ、アイデアを出す・プロジェクトが成功すると、トークン・NFTの価値が上昇します。

 

組織形態としてDAOを選択するメリット

以下は、組織形態としてDAOを選択するメリットです。

 

  • メンバーの主体性を引き出せる
  • 一部のメンバーによる不正行為や利益誘導を防止できる
  • メンバーの居住地域に制限がない

 

それぞれについて詳しく説明します。

 

メンバーの主体性を引き出せる

会社などの従来型組織の場合、社長や上司などの指示・命令に従わざるを得ないことがあります。望まない業務であっても、意欲に欠けたまま仕方がなく遂行するメンバーもいるでしょう。

しかしDAOでは、全メンバーが対等な立場なので、それぞれのアイデアを自由に出し合って主体的に行動できます。

 

一部のメンバーによる不正行為や利益誘導を防止できる

従来型組織では、権限を握っている一部の人間が不正な行為をしたり、利益誘導をしたりする可能性があります。

他方、DAOの場合、参加者全員が意思決定に共同で関与する仕組みであり、権限が分散されているため、特定の人物・グループによる権限濫用や利益誘導のリスクが低減します。

 

メンバーの居住地域に制限がない

従来型の組織の場合、基本的にオフィスがある場所の周辺に居住しなければなりません。

しかしDAOでは、ブロックチェーン上のスマートコントラクト技術を用いるため、居住地域を問わず、日本全国あるいは全世界から参加することが可能です。さまざまな地域からメンバーが参加することで、多様なアイデア・スキルが集まります。

 

DAOを活用したビジネスモデルの具体例

以下は、DAOを活用したビジネスモデルの具体例です。

 

  • Roopt神楽坂 DAO
  • Nouns DAO
  • 美しい村DAO

 

それぞれについて詳しく説明します。

 

Roopt神楽坂 DAO

Roopt神楽坂 DAOは、空き家をシェアハウスとしてリノベーションし、DAOで運営するプロジェクトです。

入居者がNFTを購入してDAOに加わることで、民主的に物件の共同運営や生活環境向上に取り組むようになる効果が期待されます。なお、取り組みによってシェアハウスの価値が上昇すれば、入居者は利用権を高値で売却することが可能です。

 

Nouns DAO

Nouns DAOでは、「Nouns」と呼ばれるNFTアートを24時間に1つ自動的に生成し、オークションを通して売買されます。Nounsの保有者は、DAOに参加することが可能です。

なお、Nounsの売上はDAOの共通ウォレットに入り、使い道はDAOメンバー(NFT保有者)の提案・投票で決定されます。資産の使い道は、「資産運用」「3DNounsジェネレーターの作成」「ウクライナへの人道支援」など多種多様です。

 

美しい村DAO

美しい村DAOは、地方創生を目的として、複数の自治体(20241月時点では59の自治体)が連携して運営するプロジェクトです(NPO法人「日本で最も美しい村」連合が主導)。

なお、デジタル村民証や地域の魅力的なコンテンツがNFTとして販売されています。NFTを購入するとDAOのメンバーとなり、運営に関与することが可能です。

 

DAOの課題

DAOには、上述したメリットだけではなく、以下に示す課題もあることを認識しておきましょう。

 

  • 法制度の整備が必要
  • セキュリティ対策の徹底が求められる
  • 意思決定に時間がかかる場合がある

 

それぞれについて詳しく説明します。

 

法制度の整備が必要

近年、DAOを活用したビジネスが増加したことに伴い、税制などの整備が求められています。

なお、国境を越えて活動することも可能なので、日本国内だけで法制度を議論・整備するのではなく、多国間で歩調を合わせなければなりません。

 

セキュリティ対策の徹底が求められる

過去にスマートコントラクト技術の脆弱性を悪用したクラッキング被害によって、イーサリアムのブロックチェーン上でDAOの資産が盗まれた事例があります。

そのため、厳格なセキュリティ対策を講じ、参加者の資産を守らなければなりません。

 

意思決定に時間がかかる場合がある

DAOは分散型組織であるがゆえに、意思決定に時間がかかる場合もあります。

従来型組織(会社など)の場合、トップ(社長など)の決断で迅速に物事が進む状況でも、DAOでは議論や投票に一定の時間を要することにご留意ください。