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PBLとは?身に付く力や指導方法の種類などを徹底解説!

2024年09月21日
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三澤結
大学卒業後、千葉県内の公立高校で英語教員を8年間務める。
子供たちに実践的な英語力を身に付けてもらうために、授業に英語劇やグループワークなどのアクティブラーニングを積極的に取り入れた経験を持つ。
現在はフリーランスのSEOライターとして、これまでの経験を活かして教育や英語学習、留学などのジャンルの記事を執筆している。
中学校教諭一種免許状(英語)・高等学校教諭一種免許状(英語)・IELTS Overall 7.0・TOEIC820点・実用英語技能検定準1級を保有している。

PBLとは、”Project Based Learning”の頭文字を取ったもので、「問題解決型学習」や「課題解決型学習」という意味です。

PBLは、近年日本の教育現場で注目されている「アクティブラーニング」の一環として位置付けられており、PBLを通じて変化の激しい現代社会を生き抜くために必要な力が身に付くことが期待されます。

しかし、PBLには種類があり、指導内容や目的によって使い分けることが大切です。

本記事では、PBLの定義、これまでの指導スタイルとの違い、PBLによって身に付けられるスキル、そしてPBLの種類について詳しく解説します。

 

PBLとは


PBLとは、”Project Based Learning”の頭文字を取ったもので、日本語では「問題解決型学習」や「課題解決型学習」を意味します。

子どもたちが自分で問題や課題を発見し、それらを解決する力を身に付けることを目指した学習方法です。

1990年代初頭に、アメリカの教育学者であるジョーン・デューイによって提唱されました。

現在日本では文部科学省が「アクティブラーニング」を推進していますが、PBLはアクティブラーニングの一つとして近年注目を浴びています。

 

PBLSBLとの違い

SBLとは、”Subject-based Learning”の略で、「科目進行型学習」という意味です。

従来のような、教員が教科書に沿って授業を進めていくスタイルのことを指します。

PBLSBLの大きな違いは「学習の順序」です。

SBLでは、教員が子どもたちに原理や構造、使用方法などの基本的な知識を教えてから、それらの知識を生かすための課題が提示されて、子どもたちはその課題に取り組みます。

それに対して、PBLの場合は先に課題が与えられて、その課題をクリアするために必要な知識やスキルを子どもたちが自ら考え、課題の解決を目指します。

 

 PBLによって身に付く力


 

PBLを通じて、下記のスキルが身に付くことが期待できます。

 

  •          考える力
  •          応用力
  •          表現力
  •         情報リテラシー

 

ここでは、それぞれのスキルについて詳しく解説します。

これを読むことで、PBLがどのような学習であるかさらに理解を深められるでしょう。

 

考える力

PBLでは従来の教育とは異なり、答えのない問題と向き合いながら自分の頭で解決法を見つけ出す必要があります。

解き方や公式を覚えれば解けるものではないため、「考える力」が鍛えられます。

課題を解決するためには、さまざまな角度から物事を考えることが必要です。

PBLを通じて、普段から自分の頭で考える習慣が身に付き、何事も深く考えられるようになるでしょう。

このような「考える力」は学校での勉強にとどまらず、ビジネスでも求められます。

つまり、PBLを通じて社会を生き抜く力が育成されるということです。

 

応用力

教科書に掲載されている公式や解き方などの基本的な知識を身に付けることは大切ではありますが、それを覚えるだけでは「応用力」を身に付けることはできません。

PBLでは与えられた課題に対する解決方法を探し、必要な知識を集めてそれらを応用して解決方法を見つけ出します。

そのため、PBLを通じて身に付けた知識を、実生活に生かす応用力が身に付きます。

実生活で何かトラブルが発生しても、パニックになることなく落ち着いて対処できるようになるでしょう。

 

表現力

日常生活の中で「表現力」を鍛える機会は決して多くありません。

しかしPBLでは、グループワークやディスカッションを通じて、クラスメイトに自分の意見や考えを分かりやすく伝える「表現力」が自然に身に付けられます。

また、「表現力」が高まることで、同時にコミュニケーション能力の向上も期待できるでしょう。

「表現力」が高いと、相手に合わせた表現や言葉遣いができるようになり、自分の意見や考えを誤解なく伝えられるようになるからです。

その結果、良好な人間関係を構築しやすくなります。

友達との間でトラブルが発生しても、自分の気持ちを正しく表現できるため、不要な二次トラブルを防いで効率的に問題を解決できるようになるでしょう。

 

情報リテラシー

PBLの授業では、子どもたちは課題を解決するために情報や知識を収集するだけでなく、収集した知識や情報が正しいのか、信頼できるのか判断する力が求められます。

つまり、PBLを通じて正しい情報とそうでない情報を見極められる、「情報リテラシー」が身に付けられるということです。

「情報リテラシー」が身に付けられれば、自分の目標やビジョンを実現するために必要な情報だけを選別することができるとともに、余計な情報に振り回されてストレスを抱えるリスクが軽減するでしょう。

結果として、時間や心に余裕が生まれるため、自分らしい人生を歩みやすくなります。

 

PBLの種類


 

PBLは、アプローチによって下記の2種類に分けられます。

 

  •           チュートリアル型
  •           実践体験型

 

本章では、それぞれの違いについて紹介します。

それぞれのPBLの種類の特徴やメリット・デメリットを知っておくことで、指導内容や目的によってどちらのアプローチが適しているのかより適切な判断がしやすくなるでしょう。

 

チュートリアル型

チュートリアル型は、課題に対して机上で学習を進めていくタイプのPBLです。

まず、課題を解決するための仮説を立てて、どのように学習を進めるか決めていきます。

その後少人数にグループ分けされた子どもたちがグループワークやディスカッションなどを通じて、問題解決に向けた取り組みを行います。

子どもたちが問題解決に取り組んでいる間、教師は指導を行いません。

「チューター」という立場で、生徒が問題解決できるよう「助言する」だけにとどめます。

学校の授業で行われているPBLのほとんどがチュートリアル型です。

チュートリアル型PBLを通じて、子どもたちは下記のスキルを身に付けられるでしょう。

 

  •          自主性
  •           他者の意見や考えを尊重すること
  •           多様性

 

チュートリアル型PBLのメリットとデメリットについては、下記の表を参考にしてください。

メリット

デメリット

・資料を使って知識の収集をし、グループ学習を進めていくため、実践体験型と比較すると実施しやすい

・ディスカッションやグループワークなどを通じて子どもたちは自分の意見や考えを表明したり、他者の考え方を取り入れたりすることができる

・教室内ですべて完結する

・提示された課題をもとに学習を進めるため、実践力を身に付ける効果は実践体験型よりも低い

 

実践体験型

実践体験型は、民間企業や地域など校外の現場に行って、社会が実際に抱える課題の解決を目指すタイプのPBLです。

実践体験型PBLのメリットとデメリットについては、下記の表を参考にしてください

メリット

デメリット

・地域や社会の実情を把握した上で現実の課題に取り組むため、学習意欲が高まりやすい

・高度な知識が現場でどのように役に立っているのかを体験できるため、学習内容が定着しやすくなる

・実践的で高い学習効果が期待できる

・企業や地域との連携が必要であるため、交渉やスケジュール調整など事前準備に多大な時間やコストがかかり、実施のハードルが高い

 

まとめ

PBLとは、”Project Based Learning”の頭文字を取ったもので、日本語では「問題解決型学習」や「課題解決型学習」を意味します。

近年、日本の教育現場では「アクティブラーニング」が注目されていますが、PBLもその一環です。

PBLを通じて、下記のようなスキルを身に付けられます。

 

  •           考える力
  •           応用力
  •           表現力
  •           情報リテラシー

 

しかし、PBLには「チュートリアル型」と「実践体験型」の2種類があり、指導する内容や目的、あるいはそれぞれのメリットとデメリットを把握した上で、どちらのタイプのアプローチが適しているのか正しく判断することが必要です。