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今、絶対に知っておきたい生成AIの基礎知識!ビジネスが変わっている

2025年10月21日
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山崎みしえる
ディレクショントウキョウL&J代表
編集者
株式会社リクルート出身。その後、2014年に自身が起業した会社をM&Aで売却。以降、ESG/サステナブル経営、AI領域まで幅広く執筆・監修・取材協力・媒体出演を行う。
2020年11月にOpenAIよりChatGPTが日本公開されて以降は、AIに関する執筆、企業支援を開始。業務効率化をメインとしながら、個人ではAIプロンプトでの楽曲制作、AIキャラクターデザイン、CM制作なども行っている。プロフィール写真もAIによるもの。

AIをいかに活用できるかは、企業や個人の競争力を左右する近々の課題です。日進月歩で劇的なアップデートが繰り返され、「昨日の常識は今日の非常識」といった様相を呈しています。

広く普及をするにつれ、「実はAIをまだ使っておらず焦っている」という方はまだ多いのではないでしょうか。

また、AIが自分の業務にどのような変革をもたらすのか、具体的につかみきれていない初心者の方も少なくないでしょう。

本コラムでは、AIを「思考と創造性を拡張するパートナー」と捉え、基礎知識から実践的な活用法を分かりやすく解説します。

 

まずはここから! 主要AIの簡単な始め方

生成AIを始めるには「メールアドレス」を用意すれば無料で始められます。

登録上の規約では、ChatGPTの場合、無料版の利用者はニックネームでの登録が可能です。

有料プランの利用者は、税務上の理由から本名やクレジットカードの登録が求められます。

AIには、無料版と有料版がありますが、最初はどれも無料で利用してみることをおすすめします。無料版では利用回数に制限がある場合がありますが、おおむね使用感を把握することは可能です。

もっとも知名度のある「ChatGPT」は、現在、GPT-4o mini(無制限)、GPT-4o(制限あり)、GPT-5(制限あり)のモデルがあります。無料版でも、基本的な機能や文章作成は十分に対応可能です。生成回数には上限がありますが、何文字まで、何回までという点は明確には開示されていません。

制限がかかった場合でも、指定日時でリセットされます。指定の時間を過ぎれば、再び無料で利用できます。

より高度な推論能力と汎用性を持つ次世代モデル「GPT-5」は202587日に公開されました。現在は、無料版ユーザーでも限定的にGPT-5を使える仕組みが提供されています。

AI初心者の方で最新モデルを利用したい場合は、無料版であらかた腕試しをした後、ChatGPT Plus(有料版)に課金し、アップグレードすることをおすすめします。現在の最低料金は月額20ドル(約3,000円程度)です。

一方、Googleが開発したAIGemini」は、20259月に米国の「無料iPhoneアプリランキング」で首位を獲得し、現在高い成長率を誇るAIです。こちらはGoogleアカウントでログインすればすぐに利用可能です。

Geminiは、ChatGPTのように「有料利用だけのモデル制限」はありません。「Deep Research」機能、「Deep Research」、ブロードキャスト機能、画像生成・編集も無料で利用が可能です。こちらも生成回数には上限がありますが、同じく指定日時でリセットされます。

AI初心者の方は、すぐに課金してアップグレードすることはせず、まずは無料版を利用するとよいでしょう。

 

これだけは知っておきたい! AIを使う上での3つのコツ

AIはさまざまな機能があり、執筆、画像や動画の生成、調査資料の作成、読み上げ、音声会話など、多くのことが可能です。

最初からすべてを理解したいところですが、なんといっても基本は「人間が指示する文章(プロンプト)」です。

この際、もっとも重要なのは、「質問をできるだけ具体的にすること」です。

漠然とした問いかけでは、返ってくる答えもあいまいになってしまいます。これについては後述しますので参考にしてください。

また、初心者がもっとも押さえておきたいのは、「AIの答えは完璧ではない」という点です。

ChatGPTを含む大規模言語モデル(LLM)は、登場当初から「もっともらしく見えるが誤った情報」「自信満々で間違う」など傾向が指摘されてきました。

これは「ハルシネーション」と呼ばれる現象です。

例えば「ChatGPTGPT-3.5ベース)」は2022年末に公開され、爆発的に普及しましたが、ハルシネーション現象が多く、裁判資料や学術論文に虚偽情報を引用した事例も話題となりました。

GPT-4」の登場により精度は改善されましたが、このアップデートも「お世辞や同調ばかり」「無難な回答に逃げる」「友達のように振る舞うだけで正解を言わない」との指摘もありました。

これらのハルシネーション現象は各AIが改善を行い、精度は向上していますが、現時点でも依然「完全に正しい」といえる段階まで到達していません。

AIの回答は完成品ではなく、あくまで「たたき台」と捉えることが重要です。

これまでどおりネット検索し照合する、またはほかのAIからも回答を得るなど、ひと手間を欠かさないことをAI初心者は覚えておきましょう。

また、さらに重要なことは、個人情報の扱いです。

対話型AIGeminiChatGPTの無料版)では、入力された内容を学習に利用する可能性があるため、会社の機密情報やプライベートな情報は絶対に入力しないことです。

2023年の事例では、サムスン電子のエンジニアがChatGPTにソースコードと会議の機密情報を入力してしまい、他社に情報が渡った事例があります。

特に、免許証やマイナンバーカードなどをチャット画面にアップロードすることは避けてください。学習データのほか、クラウド上にデータが保存され続けるリスクがあり、情報漏えいの危険性が非常に高くなります。AI側でもエラーとなりますが、初心者が気を付けたい点です。

 

AIを使いこなすプロンプト思考の重要性

AIは「指示待ち人間」です。自ら考えることはなく「人間が与える指示=プロンプト」に従って答えを返します。だからこそ、質の高いプロンプトを出すことが不可欠です。

事例を挙げましょう。

例えば「食品関係の新規事業について考えて」というプロンプトでは、漠然とした答えしか得られません。

この場合、「食品業界での新規事業を考えて。健康志向を重視した市場動向を踏まえ、10年後も成長できる事業アイディアを3つ示して」で、精度は飛躍的に高まります。

さらに「新食品業界での新規事業アイディアを検討したい。以下の観点からステップごとに具体的に提示して。市場の観点、資金調達の観点、リスクマネジメントの観点から、それぞれの具体的なステップを解説して」というプロンプトを用いれば、瞬時に回答を生成できます。

加えて「最終的に得意先のコンビニエンスストアの役員に提出できる資料にして」、「行政から100万円程度の助成金をもらえる前提で考えて」、「初期プロジェクトは3人以内で回せるアイディアに限定して」などを追加すれば、人間が1週間を費やすような課題を数秒で思考します。

ここがもっともAIが得意とするところで、非常に効率的、かつ実践的な回答を得ることが可能です。

このようなプロンプトは、AI初心者では最初から完璧には入力できないことがほとんどです。

昨今はAI初心者向けに「プロンプト事例集」などを有料販売しているケースもありますが、それをコピペして入力するだけでは学びにはなりません。

AI初心者であれば、AIと会話しながら「この観点からも聞いてみよう」「上司や女性目線ではどうだろう」など、随時プロンプトを追加していけばよいのです。

初心者には、このトライアンドエラーのステップをスキップしないことをおすすめします。

何度聞いても、人間のように怒り出したり、無言になったりはしません。ここもAIの利点です。

得られた回答は、ChatGPT PlusであればWordに落とし込み、ダウンロードすることが可能です。

GeminiGoogleの開発したAIであるため、回答を生成後、ワンタップでGoogleドキュメントやスプレッドシートにインポートできます。現在は無料版にも開放されています。

 

まとめ

AIは「指示待ち人間」「正しいとは限らない」

AIを動かすには、人間が適切な指示を与える必要があります。聞いたことに対し、プラスアルファの「上乗せ回答」を生成してはくれるものの、人間側に質問に抜け落ちがある場合、肝となる点が生成できず、結果的に未熟な回答にとどまる場合があります。

また現段階ではいまだ「ハルシネーション」を起こし、「もっともらしい嘘」の回答を提示されることもあり得ます。

 

人間が質の高い指示を出す必要がある

プロンプトには、考え得る具体例をなるべく多く入力しましょう。ただし、個人情報の入力は危険ですので絶対に入力しないでください。

AI初心者であれば、最初から完璧を目指さず、何度指示を行ってもよいと考え、会話しながらトライアンドエラーを繰り返すことで、AIの基本が身に付くはずです。


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