検索する

大阪万博の最新AI技術とは?未来社会を支えるAIテクノロジーの紹介

2025年06月05日
大阪万博の最新AI技術とは?未来社会を支えるAIテクノロジーの紹介のサムネイル画像
国司 多加志
コンピュータの専門学校がプログラミング及び、コンピュータの基礎を学び、その後、日本電気の子会社で働きました。
その後、いくつかの開発の仕事を経て,コンピュータの専門学校の講師兼担任を経験し、
その後はフリーにてシステムエンジニアやプログラマーの開発の仕事を担当、
そのかたわらプログラミングスクールや職業訓練所、企業の新人教育などを担当しました。
25年以上のシステムエンジニア、プログラマーの仕事の経験があります。

2025年の今、すでに開催されている大阪万博では、最新のテクノロジーが展示されています。

その中でも、AI技術は未来の社会を支えるとして、非常に注目されています。

この記事では、生成AIを使った展示物があるパビリオンなど、万博で導入されているAI技術を詳しく解説します。

 

大阪万博の最新AI技術とは?

2025年の大阪万博は「デジタル万博」とも呼ばれるように、最新のテクノロジーによって案内や展示が行われています。

そのテクノロジーの中でも、特に注目を集めているのがAIです。

展示されているものはAI自体ではなく、AIと音楽・映像との融合や、AIを使って何ができるかという未来社会を映し出すものになっています。

 

万博における最新AI技術の概要

万博では、最新テクノロジーとしてAIが活用されています。ここでは、万博で最新AI技術がどのように活用されているのか、いくつか紹介します。

まず、開会式ではAIと映像や音楽との融合、展示では例えば人の動作に反応する噴水など、エンターテインメントに特化したAI技術です。特に噴水は2,100m2を超え、人の動きに反応して動作する装置として最大規模だとして、ギネス世界記録に登録されました。

これから来る未来社会を来場者に体験させてくれるAI技術も登場しています。

万博内外を走るAIによる自動運転のバスや、AIによる都市の管理(スマートシティ)、医療分野でのAIによる支援、AIとロボットとの融合(障がい者の方を案内するスーツケース型ロボットなど)など、未来社会をいち早く実際に見て、触って、実感することができます。

ほかにも大阪万博では、AIを活かした地球規模の問題解決へのさまざまなアプローチも試行されています。

 

AIが実現する未来社会のビジョンとは

AI技術の進化は、未来社会においても重要な役割を果たすと考えられています。

大阪万博でのAIの活用は、単なる技術の展示にとどまらず、社会全体の効率化や利便性向上に寄与することが期待されています。

例えば、スマートシティの管理として、AIによるデータ分析を通じて交通の最適化やエネルギー管理の効率化が進むことで、持続可能な社会の実現に向けた一歩となるでしょう。これにより、都市に住む人たちの利便性がより向上します。

また、AIが人々の生活をより豊かにするための新たなサービスを生み出す試みもあり、教育や医療、環境保護など、さまざまな分野での応用が検討されているところです。特に医療分野では、過去の治療の実績データがAIによって活かされることが期待されています。

主に人間が担ってきたサービスを、AIとロボットとの融合による技術に置き換えることは、そう遠くない未来かもしれません。

AIは、未来社会の基盤を支える重要な要素となるでしょう。

 

大阪万博 日本のAI技術を紹介

大阪万博では、日本の最先端AI技術が多くの場面で活用されています。

この章では大阪万博でのAI技術について紹介していきます。数々ある日本のAI技術のうちから、

 

l   開幕式でのAI技術

l   NTTが提供するウェブコンテンツ「Dynamic Infinity

l   AIモデルの可能性

l   大阪メトロ「ugo」の案内革命

l   PHRと連動する「未来の医療」

l   住友グループ「ミライのタネ」プロジェクト

 

について紹介します。

 

開幕式でのAI技術

開会式でのAI技術は、「誰でもクリエイターになることができる」というテーマで披露されました。AIにプロンプトを入力して音楽を作り、その音楽に合わせて人間がパフォーマンスを行うという演出は、まさに人間とAI、音楽の融合です。

また開幕式では、AIのバーチャルの人物、「imma」が司会を担当しました。

immaはアジア初のバーチャルヒューマンで、トップブランドであるCOACHBurberryでもモデルを務める、AIで作られた実在しないモデルです。

音声もAIで作られており、まるで本当の女性のように動き、話すことができます。イントネーションなどに改善の余地が見られたようですが、見事な司会だったとのことです。

 

NTTが提供するウェブコンテンツ「Dynamic Infinity

NTTが提供する「Dynamic Infinity」は、ウェブコンテンツですが、生成AIが使われています。

来場者は21種類の「未来シナリオ」から自分の興味のある1つを選びます。

選んだものによって、それぞれ異なる未来のビジョンの3D映像が生成されます。

さらには、ほかの来場者のビジョンと合わせて、新しいビジョンの映像も作ることができるという、体験型のコンテンツです。

 

AIモデルの可能性

開幕式の司会を担当したimmaもそうですが、AIモデルとはAIが生成したファッションモデルやタレントのことです。

大阪万博では、AI model株式会社が制作したAIモデルが展示されています。

この展示では、万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」や、パビリオンのテーマである「REBORN」に沿った専属AIモデルが生成され、紹介映像やリーフレット、広報バナーなどの各種プロモーションツールに展開されています。

パビリオンの映像などでも、実際のAIモデルがナビゲーター役になって登場し、来場者に未来社会を案内します。

AIモデルは、出演契約や撮影を必要とせず、コンセプトや用途に合わせて完全なオーダーメイドで生成することが可能です。

雰囲気や顔立ちだけでなく、ポージングやシチュエーション、衣装も指定でき、広告のキービジュアルやECサイト、商品カタログ、SNS用素材に幅広く活用されています。

コストと制作スピードの両面で、今までのプロセスを大きく変革するAIモデルは、映像や広告業界だけでなく、販路拡大・DXを考えている広い分野に波及する可能性があります。

 

大阪メトロ「ugo」の案内革命

ugoは自律と遠隔操作が両方可能な、ugo株式会社が開発した会話案内型ロボットです。

会話のシステムとして、生成AItsuzumiNTT西日本とNTT Comが提供)など、複数の生成AIが使われています。

大坂メトロは、万博の近隣駅である中央線夢洲駅に、ugoを万博が始まる前から試験的に導入していました。

ugoは生成AIによって多言語対応(日本語・韓国語・英語・中国語)ができるようになっています。

さらに、不規則に自分から話しかけることもあり、駅の利用客には挨拶や声かけを行います。

 

PHRと連動する「未来の医療」

万博では、パーソナルヘルスレコード(PHR)と連動した未来の医療が紹介されています。

パーソナルヘルスコードは、血糖値や血圧、歩数などをデジタルで記憶しておくものです。

AIは、パーソナルヘルスコードを使って生活習慣や万博での食事についてアドバイスしてくれるだけでなく、会場内にある3Dボディースキャンと連動すれば、「ありたい自分」になるために運動や食事の提案もしてくれます。

これにより、来場者は自分の健康状態を把握し、必要な医療サービスを受けたり、生活習慣を改善したりできるようになります。

AIによるデータ解析は、医療の効率化や質の向上に寄与し、未来の医療の在り方を変えるでしょう。

 

住友グループ「ミライのタネ」プロジェクト

住友グループが推進する「ミライのタネ」プロジェクトは、住友グループが保有する700件を超える最先端技術や取り組みをもとに、未来を豊かにするさまざまなアイデア「ミライのタネ」を作るというものです。

「ミライのタネ」は、キーワードをいくつか選ぶだけで生成AIが新しい事業を考えてくれるというもので、特設WEBサイトで誰でも簡単に「ミライのタネ」を作ることができます。

万博の住友館では、作られた「ミライのタネ」が数多く紹介されています。

 

大阪万博 世界のAI技術を紹介

大阪万博では、日本のAI技術だけでなく、各国の先進的なAI技術が集結し、来場者に新たな体験を提供しています。

ここでは以下の国のAI技術について解説します。

 

l   スイスのシャボンアート

l   韓国館の「AI×音楽×照明」

l   台湾のテックワールド館

 

スイスのシャボンアート

スイス館では、AIを活用したシャボンアートが展示されています。

このアートは、来場者が未来への思いや夢を、AI技術によってシャボン玉のアートに変換するものです。

シャボン玉が空中で形を変え、色とりどりの光を放つ様子は、まるで夢の中にいるかのような体験を提供し、AIの創造力を感じさせるものとなっています。

 

韓国館の「AI×音楽×照明」

韓国館では、「AI×音楽×照明」というテーマのもと、入館者が声を事前に録音しておくと、それをもとにAIが音楽と照明を生成します。

来場者は、AIがリアルタイムで作り出す音楽に合わせて変化する光の演出を体験し、視覚と聴覚の両方で楽しめます。

韓国館の展示は、AIの可能性を感じさせると同時に、未来のエンターテインメントの形を表しているといえるでしょう。

 

台湾のテックワールド館

台湾のテックワールド館では、AI技術だけでなくさまざまなテクノロジーが展示されています。

まず、入館すると来場者一人ひとりにリストバンドが貸し出されます。

このリストバンドは、館内の体験の中での心拍数、すなわち「心が動いた瞬間」を記録して、それをもとに最後に台湾旅行のおすすめコースを教えてくれる仕組みです。

展示物としては「都市の絵巻」がテーマのAIギャラリーがあります。

この展示では、8K技術が使われた世界最高峰のアートディスプレイが使われ、実際の美術館のようなアート空間を演出しています。

アートディスプレイには反射防止技術に画像色統合技術が使われ、さらに高強度画像暗号化技術によってアートワークの真正性まで確保されるなど、最新技術を惜しみなく使用した展示です。

 

まとめ

大阪万博では多くの最新AI技術が使われており、未来社会を先駆けて体験できます。

この記事では、最新AI技術の概要やその活用方法、大阪万博で実際に使われている日本と世界のAI技術を解説しました。

展示物には定期的に内容が変わるものもあるので、気になった方は実際に大阪万博に足を運んでみてはいかがでしょうか。


関連記事