ビットコインを法定通貨として採用した国をご紹介!理由・背景事情や現状を詳しく解説

ビットコインに対して「価格が常に変動していて不安定」というネガティブなイメージをお持ちの方がいるかもしれません。
しかし、世界にはビットコインを法定通貨として採用している国家が存在することをご存知でしょうか。具体的には、エルサルバドル共和国と中央アフリカ共和国の2カ国が、ビットコインを法定通貨として採用しています。
本記事では、両国がビットコインを法定通貨として採用した理由・背景事情について詳しく解説した上で、ビットコインを法定通貨として使用するメリットや両国の現状、ビットコインの法定通貨化を検討中の国家もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ビットコインを法定通貨として採用した国家
2024年8月13日時点で、ビットコインを法定通貨として採用している国家は、以下の2カ国です。
• エルサルバドル共和国
• 中央アフリカ共和国
まずは、両国の基本情報をご紹介します。
エルサルバドル共和国
エルサルバドル共和国は、中央アメリカ中部に位置する共和制国家で、面積は九州の約半分(21,040km2)、人口は約649万人です。
2021年9月にビットコインを法定通貨として位置付ける「ビットコイン法」が発効され、エルサルバドルは世界で初めてビットコインが法定通貨として流通する国家になりました。
中央アフリカ共和国
中央アフリカ共和国は、アフリカ大陸の中央に位置する共和制国家で、面積は日本の約1.7倍(623,000km2)、人口は約556万人です。
2022年4月に同国議会でビットコインを法定通貨として採用することが全会一致で決定され、世界で2番目のビットコインが法定通貨として流通する国家になりました。
ビットコインを法定通貨として採用した理由・背景事情
以下、エルサルバドルおよび中央アフリカについて、ビットコインを法定通貨として採用した理由・背景事情をご紹介します。
エルサルバドルの事情
エルサルバドルでは自国での就労機会が少なく、米国をはじめとする海外における労働・雇用機会に依存している状況です。また多くの国民が、銀行口座を保有していません。これまで、海外で就労する国民は、高い手数料を払ってエルサルバドルに住む家族に海外送金しなければいけませんでした。
しかし、ビットコインが法定通貨になれば、銀行などに手数料を支払わずに送金できるようになります。加えて、銀行口座を保有していない国民がウォレットからウォレットへと自由に送金が可能になることも、ビットコインが法定通貨として採用された理由・背景事情といえるでしょう。
中央アフリカの事情
中央アフリカでは、「CFAフラン(セーファー・フラン)」を法定通貨としています。CFAフランとは、西アフリカ諸国の共通通貨で、フランスの植民地時代(フランス領赤道アフリカ時代)に導入され、1958年に独立した後も使用され続けてきたものです。
なお、CFAフランを使用していることについて、「旧宗主国に従属している」「フランスによる植民地支配の名残」といった批判が以前から存在しました。そのため、「CFAフランを弱体化させる試みとしてビットコインの法定通貨化が進められた」という分析もあります。
また、CFAフランからの脱却の推進、およびビットコインの法定通貨化を実施する背景として、戦略的同盟相手をフランスからロシアにシフトした事情も絡んでいるかもしれません。
ビットコインを法定通貨として使用するメリット
以下は、ビットコインを法定通貨として採用する主なメリットです。
• 銀行などに送金手数料を支払わずに済む
• 国のデジタル化推進に役立つ
• 経済的な自立を勝ち取れる
各メリットについて詳しく説明します。
銀行などに送金手数料を支払わずに済む
エルサルバドルのように、海外で出稼ぎをして国内に残った家族に送金する国民が多い国家では、銀行などに送金手数料を支払わずに済むことが、ビットコインの法定通貨化のメリットとして挙げられます。
ただし、ビットコインでも一定のトランザクション手数料が発生することにご留意ください。なお、取引量が増大すると、通常よりも送金に時間がかかったり、手数料が高騰したりする場合があり、これを「スケーラビリティ問題」と呼びます。
国のデジタル化推進に役立つ
国のデジタル化推進に役立つことも、ビットコインを法定通貨として採用するメリットです。
ビットコインは、デジタル資産であり、物理的実体がありません。ビットコインを受け取ったり、ビットコインで物品・サービスを購入したりするためには、デジタルデバイス(スマートフォンなど)とウォレットを利用する必要があります。そのため、ビットコインが法定通貨になれば、スマートフォンなどのデジタル機器の保有・利用が促進されるでしょう。
経済的な自立を勝ち取れる
中央アフリカの場合、旧宗主国が創設した共通通貨CFAフランを使い続けることは、国家として屈辱的なことかもしれません。
ビットコインの法定通貨化は、CFAフランから脱却し、真の経済的自立を目指す上で有効です。
ビットコインを法定通貨として採用したエルサルバドルと中央アフリカの現状
以下、ビットコインを法定通貨として採用したエルサルバドルおよび中央アフリカの現状をご紹介します。
エルサルバドルの現状
エルサルバドルは、格付け会社フィッチ・レーティングスによって、信用状態の格付けを下げられました。格付けを下げられた理由としては、ビットコイン価格の変動によって国の保有資産の価値が大きく上下し、債務返済能力に欠けることが挙げられます。
また、IMF(国際通貨基金)から法定通貨化を撤回するように要求されており、エルサルバドル政府は資金調達が困難になっていることにもご留意ください。ただし、同国政府は「アメリカのドルの価値も変動する」「米ドルの支配から脱却する必要がある」といった主旨の主張を展開しており、今後もビットコインを法定通貨として使用し続ける方針を崩していません。
中央アフリカの現状
中央アフリカでは、ビットコインの法定通貨化に続いて、独自の暗号資産「サンゴコイン」が導入されました。また、外国人投資家が一定金額のサンゴコインで市民権を購入できるようにする計画も発表していましたが、最高裁判所から違憲判決が出て阻止されています。
同国では電力供給が安定しておらず、インターネット普及率も低いため、今後の動向は不透明です。
ビットコインの法定通貨化を検討中の国家
将来的にビットコインを法定通貨として採用することに関して、活発に議論が交わされている国家は複数存在します。ただし、要人がビットコインの法定通貨化に関して前向きな姿勢を明確にしている国は多くありません。
アルゼンチンは、ビットコインの法定通貨化に関して、国家機関が真剣に検討を進めている数少ない国家です。ハビエル・ミレイ大統領がビットコイン支持派として知られているほか、アルゼンチンの証券取引委員会の委員長などが、エルサルバドルのデジタル資産委員会の委員長と会談して情報を交換しているので、今後の動向を注視しましょう。
なお、アルゼンチンはG20のメンバーです。仮にビットコインの法定通貨化が実現すれば、主要国としては初めての事例であり、他の国家の議論にも影響を及ぼす可能性があります。