暗号資産(仮想通貨)のカストディアルウォレット(オンラインウォレット)とは?ノンカストディアルウォレットとの違いを解説
暗号資産を購入したり、誰かから貰ったり、マイニングなどで獲得したりした場合は、「ウォレット」と呼ばれるツールで保管しましょう。他者に秘密鍵(暗号資産の本体)の管理を任せるタイプのウォレットは「カストディアルウォレット」、自分自身で管理するタイプのウォレットは「ノンカストディアルウォレット」と呼ばれます。
なお、インターネット上で(オンラインで)秘密鍵を保管する「オンラインウォレット」は、基本的にカストディアルウォレットに分類されます。
本記事では、暗号資産の保管方法に関して調べている方に向けて、オンラインウォレットがどのようなウォレットなのかを紹介し、カストディアルウォレットとノンカストディアルウォレットの違いも解説するので、ぜひ参考にしてください。
オンラインウォレットとは?
暗号資産ウォレットとは、暗号資産(ビットコイン・イーサリアムなど)を保管するためのツールです。ウォレットのうち、インターネット上(オンライン)で暗号資産を管理するものは、「オンラインウォレット」と呼ばれます。
暗号資産取引所に暗号資産を預け入れる場合は、業者が用意するオンラインウォレットを利用することになります。なお、暗号資産取引所を運営せず、オンラインウォレットサービスだけを運営する事業者も存在することにご留意ください。
暗号資産のウォレットは「秘密鍵を管理する主体」という観点で2種類に大別される
暗号資産のウォレットは、「秘密鍵を管理する主体が誰なのか」という観点・切り口によって、以下に示す2つの種類に大別することが可能です。
● カストディアルウォレット
● ノンカストディアルウォレット
それぞれに関して詳しく説明します。
カストディアルウォレット
カストディアルウォレット(管理委託型ウォレット)とは、他者に秘密鍵の管理を任せるタイプのウォレットです。オンラインウォレットは、サービス提供事業者に秘密鍵の管理を任せるため、基本的にカストディアルウォレットに分類されます。
ただし、例外的なケースですが、ユーザーが独自にサーバーを設置し、自分自身の責任・権限でオンライン上で秘密鍵を管理していることもあるでしょう。その場合は、他者に秘密鍵の管理を委ねていないため、オンラインウォレットであってもカストディアルウォレットには分類されません(後述するノンカストディアルウォレットに分類)。
ノンカストディアルウォレット
ノンカストディアルウォレット(自己管理型ウォレット)とは、自分自身で秘密鍵を管理するタイプのウォレットです。具体例としては、紙に秘密鍵などを記載する「ペーパーウォレット」や、USBメモリ型のデバイスに秘密鍵などの情報を記録する「ハードウェアウォレット」などが該当します。
他者に秘密鍵の管理を任せないため、盗まれたり、サービスが終了して暗号資産が手元に戻らなくなったりする心配がありません。ただし、自分の不注意で秘密鍵を誰かに知られて暗号資産を盗まれたり、火災などでペーパーウォレットを失ったりするリスクがあることにご留意ください。
なお、DEX(分散型取引所)を利用する場合や、DApps(分散型アプリケーション)を利用する場合は、自分自身で秘密鍵を管理できるノンカストディアルウォレットが必要です。
暗号資産の秘密鍵とは?
暗号資産には、公開鍵(パブリックキー)と秘密鍵(プライベートキー)があります。いずれも、数字とアルファベットを組み合わせたものです。公開鍵は、他者と取引する際に公開する「アドレス」(銀行の口座番号のようなもの)を生成するために使われます。
それに対し、秘密鍵は「暗号資産の本体」と言える存在(所有者であることを証明するコード)で、トランザクションの際の署名で用いられます。秘密鍵が他者に知られてしまうと暗号資産を盗まれてしまうため、厳重に管理し、絶対に他者に教えてはいけません。また、間違って紛失・消去してしまうと、永久に暗号資産を失うことになるため、ご注意ください。
なお、公開鍵は秘密鍵を暗号化することにより、不可逆的に生成されます。そのため、公開鍵を知られても、秘密鍵を知られる(暗号資産を盗まれる)心配はありません。
カストディアルウォレットのメリット・デメリット
以下、カストディアルウォレットのメリットとデメリットを紹介します。暗号資産の保管方法として、カストディアルウォレットを利用することを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
カストディアルウォレットのメリット
カストディアルウォレットのメリットは、技術的な仕様を理解していなくても、暗号資産を管理できることです。
暗号資産に関する知識がない状態で、自分自身で秘密鍵を取り扱うと、何らかのミス・手違いで漏洩してしまう可能性があります。しかし、他者に秘密鍵の管理を委ねるカストディアルウォレットを利用すれば、知識不足に起因する漏洩リスクを低減できるでしょう。
何らかの事情でログインパスワードなどを忘れてしまった場合でも、カスタマーサポート部門に連絡して本人確認手続きを実施することで、暗号資産を動かすことが可能です。
カストディアルウォレットのデメリット
カストディアルウォレットを利用する場合は、暗号資産の本体である「秘密鍵」を預けるため、信頼できる業者を選ばなければいけません。インターネット上で検索すると、さまざまな業者を発見できます。しかし、検索結果画面には詐欺的な業者のサイトも表示されることがあるため、注意しなければいけません。
また、信頼できる業者を利用していても、業者が破綻したり、業者のシステムがクラッキング被害に遭ったりするケースがあることにご留意ください。その場合、預け入れていた暗号資産が戻ってこない可能性があります。
ノンカストディアルウォレットのメリット・デメリット
以下、ノンカストディアルウォレットのメリットとデメリットを紹介します。カストディアルウォレットのメリット・デメリットと比較したうえで、ご自身に適したウォレットをご利用ください。
ノンカストディアルウォレットのメリット
ノンカストディアルウォレットを利用する場合、自分自身の責任・権限で秘密鍵を管理します。そのため、他者に預け入れることで(カストディアルウォレットを利用することで)生じるリスク(破綻リスク・クラッキングリスク)を回避することが可能です。
暗号資産・ブロックチェーンに関する知識が豊富で、自分自身で管理できる自信がある方は、ノンカストディアルウォレットを利用することも検討しましょう。
ノンカストディアルウォレットのデメリット
ノンカストディアルウォレットを利用するのであれば、自分自身で秘密鍵を管理するため、ある程度は暗号資産・ブロックチェーンに関する技術を理解しておく必要があります。万が一、ペーパーウォレットが燃えたり、ハードウェアウォレットを紛失したり、秘密鍵が流出したりしても、誰も責任を取ってくれないことにご留意ください。
調べたり学習したりする時間を確保できず、知識が不充分なままノンカストディアルウォレットを利用すると、対応をミスして秘密鍵の漏洩につながる可能性があります。そのため、「暗号資産・ブロックチェーンに関する知識が不充分」と感じる方は、カストディアルウォレットを利用するほうが良いかもしれません。