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画像認識AIとは?選定時のポイントや業界別での活用事例を紹介

2025年03月31日
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堺 彬
株式会社SakAI Nexus 代表取締役
株式会社SakAI Nexus代表。AIを活用した業務効率化と収益向上を支援し、ビジネスの成功を目指す経営者をサポート。AIをメインとした事業を始めたい人を対象に、実践的な指導と具体的な成果を提供している。

AIセミナーを30回以上主催し、AIライティングを活用して時給10,000円を達成するノウハウを構築。AI/web3コミュニティ「マーチャントクラブWeb3.0支部」を運営し、学びと実践の場を提供。テクノロジーの力を活用し、ビジネスの未来を切り開くために活動中。

「画像認識AIとは?」「おすすめの画像認識AIとは?」と疑問をお持ちではありませんか?

画像認識AIとは、画像に写っているものをコンピュータが自動的に認識・分類する技術です。

大量のデータから特徴を抽出する技術「ディープラーニング」の進化により、人間の視覚能力に匹敵する高精度な認識が可能になりました。

本記事では画像認識AIの基本的な仕組みから種類、業界別の活用事例まで詳しく解説します。

導入時のポイントやおすすめのAIサービスも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

 

画像認識AIとは?

画像認識AIは、コンピュータが画像データを解析して内容を自動的に識別・分類する技術です。

人間の視覚機能をデジタル技術で再現し、膨大な画像情報から特定のパターンや特徴を抽出して判断を行います。

ここでは、画像認識AIの具体的な特徴について解説します。

 

コンピュータによる画像内容の自動認識技術

画像認識AIで使われる自動認識技術は、画像内の情報を自動的に識別するシステムです。

画像データをデジタル信号として取り込み、特徴量を抽出して判別処理を実行します。

従来は人間が行っていた画像判別作業を機械が代替することで、24時間稼働による業務効率化が可能です。

製造ラインでの不良品検出や防犯カメラの監視など、人間の目に頼っていた作業の自動化につながります。

 

ディープラーニングによる高精度な認識処理

ディープラーニングは多層のニューラルネットワークを活用し、画像認識の精度を飛躍的に向上させる技術です。

大量の学習データから自動的に特徴を抽出し、複雑なパターンを認識できます。

従来の機械学習と比較して、人間が特徴量を定義する必要がなく、AIが自ら最適な特徴を見つけ出す点が特徴の一つです。

医療画像診断や自動運転など、高い精度が求められる分野で効果を発揮しています。

 

人間の視覚認識能力の模倣と自動化

画像認識AIは、人間の視覚システムを参考にした認識メカニズムを実装しています。

画像の輪郭や色、形状などの特徴を総合的に分析し、対象物を識別する仕組みです。

環境変化に対する柔軟な対応能力を持ち、照明条件の変化や部分的な遮蔽があっても認識可能です。

小売業での商品識別や農業での作物管理など、人間の目による判断を必要とした作業の自動化に貢献します。

 

画像認識AIの種類

画像認識AIには、目的や用途に応じてさまざまな種類が存在します。

各技術は特定の認識タスクに特化しており、業界やビジネスニーズに合わせて選択することが重要です。

主な種類をまとめると以下のとおりです。

 

     物体検出・認識技術

     顔認識システム

     文字認識(OCR)技術

     画像分類技術

 

詳しく解説します。

 

物体検出・認識技術

物体検出・認識技術は画像内の特定物体の位置を特定し、種類を識別する機能です。

複数の物体を同時に検出し、分類することが可能です。

物体検出・認識技術は、自動運転車での障害物検知や防犯カメラでの不審者検出に活用されています。

リアルタイム処理能力を持ち、動画内の物体追跡も可能なため、動的な環境での監視や分析に適しています。

 

顔認識システム

顔認識システムは人物の顔を検出し、個人を特定する高度な技術です。

顔の特徴点を抽出してデータベースと照合し、本人確認を行います。

空港での搭乗手続きや企業のセキュリティシステムなど、本人確認が必要な場面で広く活用されています。

最新の技術では表情認識や年齢推定も可能になり、マーケティングや顧客満足度分析などの用途でも活用可能です。

 

文字認識(OCR)技術

文字認識技術は画像内のテキストを検出し、デジタルデータに変換するシステムです。

手書き文字や印刷文字を高精度で認識し、編集可能なテキストに変換します。

請求書や名刺のデジタル化、古文書のアーカイブなど、紙媒体の情報をデジタル化する場面で活躍しています。

多言語対応の進化により、外国語文書の翻訳や国際的なビジネス文書の処理効率化も可能になりました。

 

画像分類技術

画像分類技術は画像全体の特徴を分析し、事前に定義されたカテゴリに振り分ける機能です。

画像の内容を総合的に判断し、もっとも適切なラベルを付与します。

Eコマースサイトでの商品カテゴリ分類や医療画像の病変分類など、大量の画像データを効率的に整理する場面で活用されています。

分類結果には確信度スコアが付与され、判断の信頼性を数値化すれば、人間による最終判断の補助をしてくれる点が主な強みです。

 

画像認識AI選定時のポイント

画像認識AIを選定する際は、自社の業務特性に合った最適なシステムを見極めることが重要です。

選ぶ際には以下のポイントを押さえておきましょう。

 

     目的と課題の明確化

     必要な認識精度の設定

     導入コストと運用体制の検討

 

詳しく解説します。

 

目的と課題の明確化

画像認識AIを導入する際には、解決したい具体的な課題や達成したい目標を明確にすることが重要です。

製造業であれば不良品検出、小売業であれば顧客行動分析など、業務改善につながる具体的な目的が必要です。

目的が明確であれば必要な機能を絞り込め、最適なシステム選定につながります。

あいまいな目標では、不要な機能を含むシステムを選んでしまうリスクが高まります。

 

必要な認識精度の設定

画像認識AIの精度は業務内容によって求められるレベルが異なるため、適切な基準を設定することが重要です。

例えば、医療分野では高精度が必須ですが、小売業ではある程度の許容範囲が設けられる場合があります。

精度と処理速度のどちらを優先するか、業務内容に応じて判断することが大切です。

適切な精度設定は、システムの過剰スペックによるコスト増加を防ぐ結果にもつながります。

 

導入コストと運用体制の検討

画像認識AI導入には初期費用だけでなく、継続的な運用コストや保守費用も考慮する必要があります。

自社内で運用する場合には、専門知識を持つ人材の育成やデータ更新体制の整備も重要です。

クラウド型サービスの場合は従量課金制が多く、小規模から始められるメリットがあります。

一方、自社サーバー型では初期費用は高くなるものの、長期的にはランニングコストを抑えられる場合があります。

 

おすすめの画像認識AI3選

現在の画像認識AI市場では、大手クラウドベンダーが提供するサービスが高い信頼性と豊富な機能で注目されています。

各サービスには特徴があり、用途に応じた選択が必要です。

おすすめの画像認識AIをまとめると、以下のとおりです。

 

     Google Cloud Vision API

     Amazon Rekognition

     Microsoft Azure Computer Vision

 

詳しく解説します。

 

Google Cloud Vision API

Google Cloud Vision APIは、Googleの強力な画像認識技術を活用した多機能なサービスです。

物体検出やランドマーク認識、テキスト抽出など幅広い機能を単一のAPIで提供しています。

多言語対応のOCR機能は特に優れており、さまざまな言語の文字認識に対応している点が強みです。

小売業での商品認識や製造業での品質管理など、さまざまな業界で活用されており、導入事例も豊富に公開されています。

参考Google Cloud

 

Amazon Rekognition

Amazon Rekognitionは、画像・動画分析に特化したAWSのサービスです。

顔認識や感情分析、不適切コンテンツの検出など、セキュリティ関連の機能が充実しています。

リアルタイム分析能力に優れており、監視カメラ映像の解析や入退室管理システムとの連携が容易です。

Amazon Goの無人店舗技術「Just Walk Out Technology」にも同様の技術が活用されており、実用性が証明されています。

参考Amazon Rekognition

 

Microsoft Azure Computer Vision

Microsoft Azure Computer Visionは、カスタマイズ性の高い画像認識サービスです。

画像分類や物体検出、セマンティックセグメンテーションなど、多様な機能を提供しています。

特にカスタムビジョンサービスを通じて、独自の画像分類モデルを簡単に構築できる点が特徴的です。

医療分野での画像診断支援や農業分野での作物管理など、専門性の高い領域での活用事例が増えています。

参考:Azure AI Vision

 

画像認識AIの業界別活用事例

画像認識AIは多様な業界で革新的な活用が進んでおり、業務効率化と品質向上に貢献しています。

ここでは、具体的な活用事例を業界別で紹介します。

 

製造業での品質管理・検査自動化

製造業では、画像認識AIによる品質管理と検査工程の自動化が急速に進んでいます。

人の目による検査では、見落としや判断基準のばらつきが課題でしたが、AIによる一貫した高精度な検査が可能になりました。

トヨタ自動車では、外観検査に画像認識AIのディープラーニングを活用し、製品の外観検査や不良品の早期発見を実現しています。

検査データを蓄積して分析すれば、さらなる品質改善にもつながります。

参考:トヨタ自動車株式会社 様 | WiseImaging | 導入事例

 

医療分野での画像診断支援

医療分野では画像認識AIがレントゲンやMRI画像の診断支援に活用され、医師の診断精度向上と業務効率化に貢献しています。

膨大な医療画像データから異常を検出する能力は、早期発見と適切な治療につながります。

特に新型コロナウイルスによる肺炎診断などでは、AIによる画像解析が迅速な診断を支援しています。

医師が見落としやすい微細な変化を検出できる点が評価され、診断の補助ツールとして広く導入されています。

参考:AI技術を活用した当院での取り組み(AIホスピタル)|慶應義塾大学病院

 

小売業での無人店舗運営

小売業では画像認識AIを活用した無人店舗が実現し、顧客行動の追跡や自動決済が可能になっています。

Amazon Goでは「Just Walk Out」技術を導入し、レジ不要の買い物体験を提供しています。

画像認識AIの技術により、店舗運営効率と顧客満足度が向上した事例です。

無人店舗は省人化だけでなく、新しい購買体験を提供する革新的な取り組みとして注目されています。

参考:自律型小売テクノロジー - Just Walk Out テクノロジー

 

農業での作物管理・収穫予測

農業分野では画像認識AIが作物管理や収穫予測に活用され、効率化と環境負荷軽減に貢献しています。

例えば、アメリカの農機具メーカーであるJohn Deereは、画像認識AIが搭載されたセンサーを搭載したトラクターを開発しました。

トラクターで農地を撮影し、画像データを解析することで作物の成長状況や病害虫の早期兆候を検出することに成功しています。

作物管理・収穫予測技術により、肥料や農薬の使用量を最適化し、持続可能な農業の実現を目指しています。

参考:ジョンディア、自動運転トラクターやAIによる農業効率化を「CES2023」で基調講演|Car. Watch

 

セキュリティ分野での監視システム

セキュリティ分野では画像認識AIを活用した監視システムが導入され、不審行動や異常行動を迅速に検知することが可能です。

JR博多シティでは「AI Security asilla」を導入し、400台以上の防犯カメラ映像を解析する体制を整えました。

監視システムにより、警備品質と効率が向上し、施設利用者への安心・安全の提供が強化されています。

さらに、違和感検知技術による事件事故の未然防止にも貢献した事例です。

参考:JR博多シティ、AI警備システム「AI Security asilla」を導入し400を超える防犯カメラ映像を解析 | PR TIMES

 

まとめ

画像認識AIは、製造業の品質管理から医療診断、小売業の無人店舗まで幅広い業界で活用できます。

導入にあたっては目的や課題を明確にし、必要な認識精度と運用体制を考慮した上で最適なシステムを選定することが重要です。

技術の進化により認識精度の向上とコスト低減が進み、今後はさらに多くの企業での導入が加速すると予想されます。

ぜひ本記事を参考にして、自社の課題解決に最適な画像認識AIを選定し、業務効率化と新たな価値創造を目指してみてください。


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