クラウドAIとは?導入するメリット・デメリットや活用事例を紹介

「クラウドAIとは?」「導入するメリットとデメリットは?」などと悩んでいませんか?
クラウドAIは、インターネットを通じて高度なAI機能を手軽に利用できる革新的なテクノロジーです。初期投資を抑えながら、機械学習やディープラーニングなどの複雑なAI処理を実現できます。
本記事では、クラウドAIの基本概念から具体的なメリット・デメリット、実際の活用事例まで詳しく解説します。導入に必要な3つのステップも紹介しているので、クラウドAI導入を検討している場合はぜひ参考にしてみてください。
クラウドAIとは?
クラウドAIは、インターネットを介してクラウド上のAIシステムにアクセスして利用する技術やサービスです。企業のデジタル変革を加速させる重要な技術基盤として注目されています。
クラウドAIが注目される背景
クラウドAIが注目される背景には、従来のAIシステム導入における課題を解決できる点があります。これまでは高性能なサーバーの購入や専門的な人材の確保など、多額の初期投資が必要でした。
現在は、AWSやGoogle Cloudなどのクラウドサービスを利用することで、必要なときに必要な分だけAIリソースを活用できます。クラウド上の豊富なAIリソースとサンプルデータを活用でき、専門知識がなくても導入が容易です。
エッジAIとの違い
クラウドAIとエッジAIは、データ処理の場所と特性が異なります。クラウドAIはデータセンターで集中処理を行い、大規模なデータ分析に最適です。
エッジAIは端末側で処理を行うため、リアルタイム性が求められる用途に向いています。通信量を削減でき、プライバシー保護の面でも優位性があります。
オンプレミスとの違い
クラウドAIとオンプレミスAIは、システムの構築・運用方法が異なります。クラウドAIはサービスとして利用するため、初期投資を抑えられます。
オンプレミスAIは自社でインフラから構築するため、高度なカスタマイズと完全な管理が可能です。セキュリティ要件や運用コストを考慮し、選択する必要があります。
クラウドAIのメリット
クラウドAIのメリットをまとめると、以下のとおりです。
● 高度な処理能力が実現する
● サーバー構築や管理の固定費を削減できる
● 既存データを有効活用できる
● 運用管理を簡素化できる
● 柔軟にスケールできる
詳しく解説します。
高度な処理能力が実現する
クラウドAIは、数千台規模のサーバーによる並列処理で高度な演算を実現します。大規模なデータセンターの計算リソースにより、複雑な機械学習モデルのトレーニングが可能です。
企業は自社でスーパーコンピューターを保有することなく、高度なAI処理を活用できます。画像認識や自然言語処理など、大量のデータを必要とする処理を短時間で実行できる点もメリットです。
サーバー構築や管理の固定費を削減できる
従量課金制の料金体系により、必要なときに必要な分だけAIリソースを利用できます。自社でのサーバー構築費用や保守管理費用が不要となり、初期投資を大幅に抑えることが可能です。
クラウドプロバイダーがインフラ管理を担当するため、運用コストを最小限に抑えられます。使用量に応じた柔軟な支払いプランにより、コストの最適化が実現できます。
既存データを有効活用できる
クラウドプラットフォーム上の豊富なデータセットと事前学習済みモデルを活用できます。企業独自のデータとクラウド上のデータを組み合わせれば、AIモデルの精度が向上する点もメリットです。
データの保存容量を気にすることなく、長期的な分析データを蓄積できます。グローバル規模でのデータ統合により、より正確な予測と分析が可能です。
運用管理を簡素化できる
システムの保守や更新作業が自動化され、IT部門の運用負担を軽減できます。クラウドプロバイダーによる24時間体制の監視により、安定したシステム運用が可能です。
場所や時間を問わずアクセス可能で、リモートワークにも対応できます。チーム間でのデータ共有やコラボレーションが容易になり、業務効率が向上します。
柔軟にスケールできる
ビジネスの成長に合わせて、AIリソースを即座に拡張または縮小できる点もメリットです。急激な需要増加時でもサーバーリソースを追加し、安定したサービスを維持できます。
世界中のデータセンターを活用すれば、海外展開時も快適なサービスを提供することが可能です。季節変動や特需にも柔軟に対応し、最適なリソース配分を実現できます。
クラウドAIのデメリット
クラウドAIのデメリットをまとめると、以下のとおりです。
● インターネットの常時接続が必要になる
● データ転送量に応じた通信コストが発生する
● セキュリティリスクが高まる
詳しく解説します。
インターネットの常時接続が必要になる
クラウドAIの利用には、安定したインターネット接続が不可欠です。通信環境の品質がサービスの安定性に直接影響を与えます。
通信障害やネットワーク遅延が発生すると、AIシステムが利用できなくなる可能性があります。重要なシステムでは、オフライン時のバックアップ体制を整えなくてはいけません。
データ転送量に応じた通信コストが発生する
クラウドAIでは、データの送受信ごとに通信コストが発生します。大量のデータを頻繁に処理する場合、想定以上の費用がかかる場合があります。
データ圧縮技術の活用により、通信コストを削減することが可能です。データの発生元やサーバーにてデータ処理を行うエッジコンピューティングとの併用で、効率的なコスト管理を実現できます。
セキュリティリスクが高まる
クラウド上でのデータ管理には、不正アクセスや情報漏洩のリスクが存在します。機密性の高い情報を扱う場合は、慎重な対応が求められます。
具体的には、データの暗号化や適切なアクセス権限の設定が主な対策方法です。定期的なセキュリティ監査を実施し、システムの安全性を確保する必要があります。
クラウドAIの活用事例
クラウドAIを活用するのであれば、他社の事例を事前に把握しておくことが大切です。ここでは具体的な活用事例を紹介します。
X線/CT/MRI画像から異常を検知|富士フイルム
富士フイルムの医療クラウドサービス「SYNAPSE VINCENT Cloud」は、AI技術を活用した画像診断支援システムを提供しています。メディカルAI技術ブランド「REiLI」による深層学習を用いて、医療画像の3D解析と術前シミュレーションを実現しました。
肺のCT画像から気管支や肺結節の抽出、肝臓実質のVolumetry解析など、多岐にわたる画像解析機能を実装しています。月額定額制で利用でき、初期コストを抑えながら必要なアプリケーションを追加できる柔軟な料金体系も特徴の一つです。
AI需要予測型自動発注システムによる業務効率化|株式会社西友
西友は日立製作所と協力し、AI需要予測型自動発注システム「Hitachi Digital Solution for Retail」を導入しています。過去の販売実績や在庫データ、イベント情報などを分析して店舗・商品ごとに最適な発注量を自動で算出します。
システムは弁当・惣菜売場の約250アイテムを対象とし、従来は熟練担当者が行っていた発注業務を自動化しました。結果、店舗スタッフは接客や店舗オペレーションに注力できるようになり、欠品や食品廃棄ロスの削減にもつながっています。
参照元:西友が日立との協創を通じ、 AI による需要予測に基づき自動発注を行うシステムを導入開始
クラウドAI導入に必要な3つのステップ
クラウドAIの導入は、以下の順番で進めていきましょう。
- 事前準備を整える
- 実証実験を実施する
- 本格展開を推進する
詳しく解説します。
1. 事前準備を整える
導入目的と目標を明確にし、必要なデータと資源を洗い出します。自社の業務プロセスを分析し、AIで自動化可能な部分と必要なデータを特定することが大切です。
組織体制の整備と初期投資の検討を行い、具体的な導入計画を策定します。実現可能な範囲でスモールスタートを心がけ、段階的な展開を計画しましょう。
2. 実証実験を実施する
限定的な範囲でAIモデルの検証を行い、業務への適合性を確認します。実験結果をもとに本番環境への移行計画を立案し、具体的な導入方法を決定します。
運用面での問題点を洗い出し、必要に応じてAIモデルのチューニングを実施しましょう。セキュリティ対策や、データ保護の方針を確立することが大切です。
3. 本格展開を推進する
検証済みのAIシステムを本番環境に実装し、既存の業務プロセスと統合します。運用体制を確立し、定期的なモニタリングと改善の仕組みを構築しましょう。
システムの精度評価とパフォーマンス分析を定期的に実施し、必要な改善を行います。本格的な導入を進めていく中で、継続的な従業員教育とスキル向上に必要な研修を実施することも重要です。
まとめ
クラウドAIは、企業のデジタル変革を加速させる重要な技術基盤です。導入するときは、目的に応じた適切な選択と計画的な展開が必要です。
メリットだけでなくデメリットを理解し、適切な対策を講じれば効率よく活用できます。ぜひ本記事を参考にして、クラウドAIを導入するかを検討してみてください。