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学校や家庭での教育にゲーミフィケーションを取り入れるメリット

2024年09月21日
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三澤結
大学卒業後、千葉県内の公立高校で英語教員を8年間務める。
子供たちに実践的な英語力を身に付けてもらうために、授業に英語劇やグループワークなどのアクティブラーニングを積極的に取り入れた経験を持つ。
現在はフリーランスのSEOライターとして、これまでの経験を活かして教育や英語学習、留学などのジャンルの記事を執筆している。
中学校教諭一種免許状(英語)・高等学校教諭一種免許状(英語)・IELTS Overall 7.0・TOEIC820点・実用英語技能検定準1級を保有している。

「ゲーミフィケーション」とは、子どもに楽しく、かつ意欲的に学習してもらうために、「レベルアップ」や「プレイヤー同士の競争」などゲームで利用される要素を盛り込んだ学習方法です。

スマートフォンの普及により、近年ますますゲームが子どもたちに浸透するようになったことから、注目度が高まりつつあります。

この記事では、ゲーミフィケーションの定義やメリット、学校や家庭教育でゲーミフィケーションを取り入れる際に注意すべき点について詳しく解説します。

 

ゲーミフィケーションとは?

 

ゲーミフィケーションとは、レベルアップやスコアの競争など「ゲーム」の要素や原則をゲーム以外の物事に応用することです。

参加者を楽しませて、学習や目標達成への意欲を高める効果が期待されていることから、近年、「ゲーミフィケーション」を取り入れた教育活動が注目されています。

「ゲーミフィケーション」が普及した背景には、「スマートフォンの普及」があります。

 

出典:総務省「令和2年版情報通信白書|情報通信機器の保有状況

 

上記の総務省のデータによると、2010年以降目覚ましいスピードでスマートフォンの普及が広がっており、2019年時点で83.4%となっています。

スマートフォンの普及に伴い、さまざまなアプリケーションが開発されてきました。

「ゲーミフィケーション」の要素を含み、教育や学習を目的にしたアプリケーションも数多く存在しています。

このような背景から、子どもへの教育や大人への研修などに「ゲーミフィケーション」が活用されるようになったのです。

 

教育活動にゲーミフィケーションを取り入れるメリット

教育活動にゲーミフィケーションを取り入れるメリットは3つあり、下記のとおりです。

 

-          達成感を感じながら楽しく学習できる

-          子どもたちのモチベーションを高める

-          目標を設定しやすくなる

 

本章では、それぞれのメリットについて詳しく解説します。

これらのメリットを把握することで、「ゲーミフィケーション」に対する理解をさらに深められるでしょう。

 

 達成感を感じながら楽しく学習できる

ゲーミフィケーションを通じて、子どもたちは意欲的かつ楽しく学習できます。

それは、ゲーミフィケーションでは下記のように達成感を味わえる要素が数多く含まれているからです。

 

-          レベルアップ

-          チーム行動

-          他者との競争

-          結果の可視化

-          報酬

 

従来の教育のように「やらされている」というスタンスではなく、ゴールの達成に向けて能動的に行動するため、達成感を感じながら楽しく学習を進められます。

 

子どもたちのモチベーションが高める

教育活動にゲーミフィケーションを取り入れることで、子どもたちのモチベーションが上がります。

それは、前項で紹介した要素によってゲーム感覚で楽しく学習に取り組めるからです。

株式会社デジタル・ナレッジの「小・中・高校、大学におけるゲーミフィケーション活用の意識調査報告」によると、73.4%もの教員が「『ゲーミフィケーション』は、学習者の意欲向上など学習上に効果がある」と回答しています。

調査結果からも分かるように、子どもたちの学習に対するモチベーションを高める上で、ゲーミフィケーションを取り入れた教育活動は効果的です。

 

目標を設定しやすくなる

ゲーミフィケーションでは最終的な目的やゴールが設定されているため、それらを達成するためにやるべきことが明確になり、目標が立てやすいです。

目標が立てられると、方向性や目的を見失うことなく物事に取り組めます。

子どもたちは自分の進捗度が把握しやすくなり、高い意欲を維持したまま次のステップに進めるでしょう。

 

ゲーミフィケーションを学校教育や家庭学習に取り入れる際に注意すべき点

前章ではゲーミフィケーションのメリットについて説明しましたが、これらのメリットを実感するためには正しいやり方でゲーミフィケーションを導入することが大切です。

ゲーミフィケーションを学校教育や家庭学習に取り入れる際には、下記の4点に注意しましょう。

 

-          明確な目標を設定する

-          適切な報酬を用意する

-          迅速にフィードバックを与える

-          現状をクリアにして次の一歩を直観的に把握できるようにする

 

ここでは、それぞれの注意点について詳しく解説します。

 

明確な目標を設定する

「ラスボスを倒す」「○○を全種類集める」など、ゲームには、最終的なゴールや目標があることが一般的です。

そのため、ゲーミフィケーションを学校教育や家庭学習に取り入れる際には、この授業や活動を通して何ができるようになればよいのか、最終的な目標やゴールを提示してください。

そして、その最終的な目標やゴールを達成するためにやるべきことを細分化し、小目標や中目標を設定しましょう。

最終的なゴールや目標を達成するためにやるべきことが明確になることで、子どもたちの意欲と行動が喚起されて能動的に学習に取り組むようになります。

 

 適切な報酬を用意する

ゲームでは、敵を倒したりレベルアップしたりすると、コインやアイテムなどの「報酬」が得られます。

この「報酬」は、プレイヤーのやる気を維持するのに必要不可欠な要素です。

それはゲーミフィケーションを取り入れた教育でも同じです。

「報酬」は、子どもたちのモチベーションに直結することから、ゲーミフィケーションの成否を決める要素といっても過言ではありません。

下記を参考にしながら、適切な「報酬」を用意しましょう。

 

-          ポイント獲得

-          レベルアップ

-          トロフィー獲得

-          バッジ獲得

-          成果カードによる努力の可視化

-          賞賛

 

また、取り組む課題の難易度によって「報酬」の量や質に変化を付けることも大切です。

価値のある報酬であれば、難しい課題であっても意欲的に取り組む可能性が高くなります。

 

迅速にフィードバックを与える

ゲーミフィケーションでは、相手が期待する行動を取った際には、迅速にフィードバック(評価や報酬など)を与えることが大切です。

それは行動から報酬までの時間が開いてしまうと、子どもたちの気持ちが切れてしまい学習効果が薄れてしまう可能性があるからです。

 

「次のテストで100点取れたら、すぐにゲームを買ってあげる」

「次のテストで100点取れたら、1年後にゲームを買ってあげる」

 

やる気が出るのはどちらの言葉ですか?

前者の言葉のほうが「頑張ろう!」という気持ちになるでしょう。

また、良い評価だけでなく、修正・訂正すべき点についてもすぐに正してあげてください。

迅速なフィードバックは、子どもたちのモチベーションの維持に不可欠です。

 

現状をクリアにして次の一歩を直感的に把握できるようにする

ゲーミフィケーションでは、現状をクリアにして次の一歩を直観的に把握できるようにすることが大切です。

全体の工程や自分の現状をマップやチャートなどで「見える化」することで、「自分が今どこにいるのか」「次に何をすべきなのか」がすぐに分かり、行動に移しやすくなります。

また、グループ学習の場合は他のチームやグループとの競争意識も芽生えて、さらにモチベーションを高めることにもつながるでしょう。

 

まとめ

ゲーミフィケーションとは、レベルアップやスコアの競争など「ゲーム」の要素や原則をゲーム以外の物事に応用することです。

ゲーミフィケーションを取り入れた教育には下記のようにさまざまなメリットがあり、実際多くの研究や論文でその学習効果が実証されています。

 

-          達成感を感じながら楽しく学習できる

-          子どもたちのモチベーションを高める

-          目標を設定しやすくなる

 

しかし、ゲーミフィケーションを取り入れた教育活動を成功させるためには、下記の点に留意することが大切です。

 

-          明確な目標を設定する

-          適切な報酬を用意する

-          迅速にフィードバックを与える

-          現状をクリアにして次の一歩を直観的に把握できるようにする

 

これらの点に注意しながら取り組むことで、ゲーミフィケーションを成功させられる可能性が高まるでしょう。