ガバナンストークンとは?保有するメリットや課題・注意点を詳しく解説!

暗号資産に興味・関心がある方は、「ガバナンストークン」という単語を見聞きした経験があるのではないでしょうか。ただし、「正確な意味が分からない」とお悩みかもしれません。
そこで、本記事では、ガバナンストークンがどのようなものなのかを徹底解説します。ほかのトークンや株式との違い、ガバナンストークン保有者が享受できるメリット、課題・注意点なども紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ガバナンストークンとは
ガバナンストークンとは、保有することにより、分散型の組織・プロジェクト(DAOやDAppsなど)の決定・運営に関する投票権を得られるトークン(暗号資産)です。
なお、DAO(分散型自立組織)とは「意思決定に参加者全員が関与する民主的な組織」を、DApps(分散型アプリケーション)とは「ブロックチェーン上で実行され、中央集権的な管理者が存在しないアプリケーション」を意味します。
ガバナンストークンの保有者は、プロジェクトのアップデートや資金の使途、新規機能の追加などに関する意思決定に参加することが可能であり、中央集権的な運営ではなく、分散的な運営を実現できます。
ほかのトークンや株式との違い
以下、ガバナンストークンとほかのトークン・株式の違いを詳しく説明します。
ガバナンストークンとほかのトークンの違い
トークン(暗号資産)には、さまざまな種類があります。「代替可能(ファンジブル)かどうか」という観点・切り口では、「FT(Fungible-Token、ファンジブルトークン)」と「NFT(Non-Fungible-Token、ノンファンジブルトークン)」に大別することが可能です。さらに、FTは、以下のタイプに区分されます。
● ガバナンストークン
● ユーティリティトークン
● 資産担保型トークン
ユーティリティトークンとは、特定のサービス・プラットフォーム内で、ポイントのように使用されるトークンです。また、資産担保型トークンとは、価値が資産によって担保されているトークンです(法定通貨などと価格が連動するように設計された「ステーブルコイン」や、ブロックチェーン技術を用いて発行されるデジタル化された有価証券である「セキュリティトークン」が該当)。
暗号資産への投資を検討している方は、どのようなトークンなのかを正しく理解したうえで購入・保有しましょう。
ガバナンストークンと株式の違い
「ガバナンストークンは、株式会社における株式に似ている」と感じる方もいるのではないでしょうか。確かに、「ガバナンストークン保有者がプロジェクトの意思決定に関して投票できること」は「株主が株主総会で投票できること」に類似しています。
しかし、両者には明確な違いがあります。株式を保有することは、企業に対する法的な支配権に相当しますが、ガバナンストークンを保有することは、プロジェクトを支配することとイコールではありません。関与できる範囲は、あらかじめ定められた範囲に留まります。
なお、株式の発行主体は法人格を有しますが、ガバナンストークンの発行主体には法人格がありません。また、株式会社には代表(社長)が存在するのに対し、DAOは代表者が存在しない分散型の組織形態であることも両者の相違点です。
ガバナンストークン保有者が享受できるメリット
ここからは、ガバナンストークンの保有者が享受できる主なメリットを紹介します。
プロジェクトの意思決定に関与できる
ガバナンストークン保有者には、投票権が付与され、DAOやDAppsなどの開発・運営の意思決定に関与できます。
多くの場合、トークンの1単位が投票での1票に相当し、トークン保有量が多いほどご自身の意見を反映させやすくなる仕組みです。
特典を受けられる場合がある
ガバナンストークンによっては、投票権を得られることに加えて、さまざまな特典を受けられる場合もあります。
具体的には、「サービスを利用する際の手数料の優遇」「インセンティブの付与」などが挙げられます(株式における「株主優待」や「配当」に似た仕組み)。
ほかのトークンと同様に売買差益で稼ぐことも可能
ガバナンストークンによっては、暗号資産取引所に上場されているケースがあります。
上場されている銘柄に関しては、ほかのトークン(暗号資産)と同じように自由に購入したり、売却してたりして差益で稼ぐことも可能です。DAOの運営(投票)に興味・関心がない、あるいは「当初はプロジェクトに希望を抱いていたものの、失望を感じるようになった」という場合は、長期保有するのではなく、トレードで稼ぐことも選択肢としてご検討ください。
ガバナンストークンの課題・注意点
ガバナンストークンの保有を検討している方は、以下に示す課題・注意点があることを認識しておきましょう。
大量保有者に権力が集中する可能性がある
多くの場合、「ガバナンストークン1単位=1票」と換算され、保有量に応じて投票権が付与されます。そのため、大量に有する人物・グループ(大口投資家)に権力が集中する可能性があることにご留意ください。
多数決で決まった方針がプロジェクトにとって最善であるとは限りません。少数派の意見のほうが、「目標を実現する」「ビジネスの競争に勝ち、成功する」という観点では正しいこともあるでしょう。
分散型の組織・プロジェクトを存続させるためには、ガバナンストークンを多くの投資家が分散保有することが望ましく、大口投資家に対処するためのメカニズムの構築が課題です。
意思決定に時間がかかる場合がある
多数のガバナンストークン保有者が意思決定に関わることが可能な仕組みは民主的であるものの、最終的に決定されるまでに時間かかかる場合があります。
株式会社では、経営に関しての意思決定は基本的に社長・CEOに委ねられており、スピーディーに方針を決定し、実行することが可能です(社長が株主総会で解任されることはあるため、一定の民主的な要素は株式会社にも存在)。
ガバナンストークンでは、参加者全員の意思が反映されるため、意見の集約や投票期間に時間がかかり、対応が遅れる場合があります。
ガバナンストークンを入手してから投票するまでの流れ
以下、ガバナンストークンを入手してから投票するまでの大まかな流れを紹介します。
ガバナンストークンを入手する
ガバナンストークンは、以下に示す方法で入手することが可能です。
● エアドロップ
● プロジェクトへの協力・貢献による付与
● 暗号資産取引所での購入
銘柄によっては、国内の取引所で取り扱われていないケースもあります。国内業者が取り扱っていないガバナンストークンを購入したい場合は、海外の取引所を利用することも検討しましょう。なお、投票権を行使するためには、取引所から手元のパソコンなどのウォレットにガバナンストークンを送付しておかなければいけません。
投票に参加する
ガバナンストークンを保管しているウォレット(MetaMaskなど)をプロジェクトのWebサイトに接続することにより、投票が可能になるケースが一般的です。投票の承認プロセスなどに関する詳細は、各プロジェクトの公式サイトでご確認ください。
プロジェクトの公式サイトに設置されている「投票」や「Vote」などと表示されているリンクからアクセスし、「ウォレットを接続」「Connect wallet」などのボタンをクリックすると、投票機能を使えるようになるケースが多く見受けられます。提案の内容を熟読したうえで投票権を行使し、プロジェクトをより良い方向に導きましょう。