Llamaとは?4つの特徴とChatGPT・Geminiの違いについて解説

企業の業務効率化やコスト削減を目的に大規模言語モデル(LLM)を導入する動きが加速しています。
AIモデルの中でも、Meta社が開発するLlama(ラマ)は注目されている一つであり、2025年4月5日(米国時間)に最新モデルLlama 4が公開されました。
本記事では、Llamaとは何か、4つの特徴について解説します。
さらにChatGPT・Geminiの違いについても分かりやすくご紹介しているので参考にしてください。
Llamaとは
Llama(ラマ)とは、Large Language Model Meta AI の略であり、FacebookやInstagramなどを運営するMeta社が開発した大規模言語モデル(LLM)のことです。
ChatGPTなどで知られるOpenAIや、GoogleのGeminiと並ぶ主要なAIモデルとして注目されており、企業や研究機関が自社向けにカスタマイズして利用できる点が特徴です。
2023年に初代モデルが登場して以降、Llamaシリーズは段階的に改良が重ねられており、以下のような4つのバージョンが公開されています。
バージョン名 |
公開時期 |
主な特徴 |
Llama |
2023年2月 |
・小型ながら高性能な研究モデルとして公開 ・少ないパラメータで大量のデータを学習し、Transformer構造を採用 ・商用利用は不可 |
Llama 2 |
2023年7月 |
・性能向上とともに、初めてオープンソース化され、商用利用も可能に ・複数のパラメータサイズで構成され、自然な対話が可能なモデルも含む |
Llama 3 |
2024年4月 |
・推論精度がさらに向上し、提案やアイデア出しといった応用にも強み ・8B・70Bの2モデル構成で、高度な会話能力を実現 |
Llama 4 |
2025年4月 |
・マルチモーダル対応や最大1,000万トークンの長文処理を可能とする最新モデル ・柔軟な応用性と拡張性が特長 |
これらの進化により、Llamaシリーズは柔軟なカスタマイズ性・商用利用の自由度・軽量で高精度な処理能力を備えており、企業や開発者から注目されているのです。
Llamaの特徴4つ
Llamaは、高い性能と柔軟な利用環境を備えていることから、多くの企業や開発者に注目されています。
ここではLlamaの4つの特徴について具体的に解説します。
l マルチモーダル対応で幅広いデータ処理が可能 l オープンソースで商用利用が可能 l 最大1,000万トークンの長文処理能力 l 多言語対応 |
マルチモーダル対応で幅広いデータ処理が可能
Llamaは、テキスト、画像、音声、動画など複数のデータ形式を同時に処理できるマルチモーダル対応のモデルです。
文章生成だけでなく、画像から説明文を生成したり、音声から会話の意図を読み取ったりといった複合的な処理を1つのAIでこなせます。
例えば、小売業での商品画像に対するキャプション作成、医療分野における画像診断支援、カスタマーサポートの自動音声など、業種を問わずに活用できます。
また、Llama 4では用途に応じたモデル選択が可能であり、軽量モデル(Llama 4 Scout)を使えば、限られた環境でも低コストに高精度な処理を実行できます。
オープンソースで商用利用が可能
Llama 4では、「Llama 4 Scout」と「Llama 4 Maverick」という2種類のオープンモデルが用意されており、企業や個人が商用目的で利用できます。
Llama 4 Scoutは、処理能力やメモリに制約のある環境でもスムーズに動作するよう設計されており、組み込み用途やモバイル向けにも適しています。
一方でLlama 4 Maverickはより高性能かつ汎用性のあるモデルであり、自然言語処理など幅広いタスクに対応可能です。
どちらもオープンソースで提供されているため、独自のデータを使った追加学習やカスタマイズができます。
ただし、月間アクティブユーザーが7億人を超える場合には、Metaから個別のライセンス許可が必要という点には注意が必要です。
また、Llama 4には「Llama 4 Behemoth」という巨大モデルも存在しますが、現時点ではプレビュー段階であり一般公開はされていません。
最大1,000万トークンの長文処理能力
Llama 4は、最大で1,000万トークンの長いコンテキストを一度に処理できるという点が特徴です。
従来のモデルでは難しかった、長文や大量データの分析や読解、要約を可能にしました。
例えば、契約書や技術仕様書、研究論文、法的判例、医療記録など、数十ページにわたる文書を一括で読み取り、文脈を保ったまま要約や関連情報の抽出ができます。
そのほかにも、企業のナレッジデータやFAQ、製品マニュアルを読み込ませ、AIアシスタントとして精度を高めた活用も進んでいます。
ほかの一般的なLLMと比較してもLlama 4の1,000万トークンは圧倒的であり、文脈保持力と分析力の両立という点で注目されているのです。
多言語対応
Llama 4は、英語を中心に学習された大規模言語モデルですが、以下の12言語にも対応しています。
アラビア語、英語、フランス語、ドイツ語、ヒンディー語、インドネシア語、イタリア語、ポルトガル語、スペイン語、タガログ語、タイ語、ベトナム語 |
例えば、英語で作成された技術文書をフランス語で要約するといった、多国籍チームやグローバル業務の現場でも使いやすいAIモデルとなっています。
ただし、日本語は現時点で公式にサポートされていないため、日本語で活用するには、ファインチューニングやプロンプト設計の工夫が必要です。
Llama 4とChatGPT・Geminiの違い
Llama 4と同じく、高性能な大規模言語モデル(LLM)はいくつか存在しますが、特徴や用途が異なります。
以下は、Llama 4とChatGPT・Geminiの主な違いです。
項目 |
Llama 4 |
ChatGPT(GPT-4) |
Gemini(Google) |
開発元 |
Meta社 |
OpenAI |
|
モデルの提供形態 |
オープンモデル(Llama 4 Scout・Llama 4 Maverick) |
クローズド(API・Web) |
クローズド(API・Web) |
商用利用 |
可能 |
可能 |
可能 |
カスタマイズ性 |
高い(コード公開・独自学習可) |
限定的(API経由のプロンプト調整など) |
限定的(API経由) |
マルチモーダル対応 |
対応(Llama 4 Scout・Llama 4 Maverick) |
対応(GPT-4o) |
対応(Gemini 1.5) |
長文処理能力 |
最大1,000万トークン |
約12万8千トークン |
最大約100万トークン |
対応言語 |
12言語 (日本語は非公式) |
80言語以上 (日本語を含む) |
40言語 (日本語を含む) |
Llamaは開発・自社導入に最適な選択肢の一つ
Chat GPTやGeminiはサービスとして完成度が高いため、一般ユーザーやすぐにビジネスとして使いたい場合に向いています。
一方でLlamaは、自由度の高さ、カスタマイズ性、商用利用可能なオープン性が特徴といえます。
そのため、独自データで学習させたり、自社サービスにAIを組み込ませたりする場合や、セキュリティ要件を重視したい場合に最適な選択肢の一つといえるでしょう。
自社に最適なAIモデルを選択し、企業の成長へつなげてください。