Web3.0とは?暗号資産(仮想通貨)との関連性を詳しく解説!
近年、会議やセミナーなどで「Web3.0」という単語を見聞きする機会が増加していますが、「どのような意味なのだろうか」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。Web3.0は、ブロックチェーンや暗号資産と密接な関連があるコンセプトです。関連分野への投資を検討している方は、意味を正確に把握しておきましょう。
本記事では、Web3.0に関して徹底解説します。暗号資産との関係や、日本におけるWeb3.0の動向、技術的な課題も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
Web3.0とは
Web3.0とは、インターネットの利用のされ方(発展段階)に関する用語であり、特定のサービス事業者に依存することなく、インターネット上でユーザー同士が自律的に活動できる状態です。
なお、Web3.0では、ブロックチェーン上で、暗号資産を媒体として「価値の共創・保有・交換」が実施されます。現在(2024年時点)のインターネットは、「Web3.0時代に突入しつつある状態」とみなされています。
Web3.0という用語のほかに、インターネットの発展段階に応じてWeb1.0やWeb2.0といった用語も使われることがあるため、それぞれの意味を把握しておきましょう。
Web1.0
Web1.0とは、インターネット上で、コンテンツを提供する事業者から利用者側に一方通行で情報が流れる(ポータルサイトなどを閲覧するだけの)状態です。
インターネットの草創期からしばらくの間はWeb1.0が継続し、多くのユーザーは情報を受動的に受け取るだけの状況でした。具体的には、1995~2005年頃のインターネットがWeb1.0に該当するとされています。
Web2.0
Web2.0とは、インターネット上で、一方通行ではなく、双方向で情報がやり取りされる状態です。ブログ・SNS・動画配信サイトなどの登場によって実現されました。具体的には、2005~2020年頃のインターネットがWeb2.0に該当するとされています。
Web2.0の特徴は、中央集権的なプラットフォーム(ブログサービス提供業者・SNS運営業者・動画配信サービス運営業者などの巨大IT企業)に大きく依存していることです。
Web3.0と暗号資産の関係
Web3.0を実現するためには、暗号資産やブロックチェーンの存在が不可欠です。具体的には、暗号資産をガバナンスへの参加権として使用したり、プロジェクトが提供するサービスの支払手段として利用したりすることが求められています。
なお、2024年の時点では、ゲーム・アートなどの文化・エンターテインメント領域、および、金融領域(分散型金融)における暗号資産・ブロックチェーン技術の活用が先行しています。
ブロックチェーン上でスマートコントラクト技術を用いれば、中央集権的な管理者の介在なしでプロジェクトを展開できるでしょう。また、トランザクションを誰でも追跡・検証が可能であり、不正を防止しやすいこともブロックチェーンの利点です。
日本におけるWeb3.0の動向
日本政府は2022年6月に発表した「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太の方針2022)」において、Web3.0の実現に欠かせない「ブロックチェーン」に関連する業界の環境整備を進める方針を示しました。NFT(非代替性トークン)やDAO(自律分散型組織)の活用を推進することも言及されており、今後、関連分野・領域のビジネスが活性化するかもしれません。
なお、2023年度の税制改正大綱では、自社で発行するトークンについて、一定の条件を満たすことで期末時価評価課税の対象外とされました。さらに、2024年度の税制改正大綱では、他社が発行するトークンでも、短期売買の目的でなければ時価評価課税の対象外とされることが盛り込まれました。
競争や変化が激しいWeb3.0業界では、税制面で不利な日本を脱出して海外で事業を展開する企業も見受けられましたが、税制改革により日本国内への回帰が期待されています。近い将来、ブロックチェーンや暗号資産を用いたWeb3.0関連の革新的なプロダクト・サービスが日本から登場する可能性もあります。
Web3.0関連領域への投資を検討している方は、こまめに暗号資産・ブロックチェーン関連のニュースをチェックしましょう。
Web3.0の技術的課題
以下は、Web3.0の技術的課題です。
● スケーラビリティ問題
● 秘密鍵の管理
● プライバシーの保護
● 電力を大量に消費する
それぞれに関して詳しく説明します。
スケーラビリティ問題
Web3.0の技術的課題として、スケーラビリティ問題が挙げられます。スケーラビリティ問題とは、トランザクションが多くなると、送金手数料が高くなり、送金時間が長くなる問題です。
ただし、近年レイヤー2技術(ライトニングネットワークなど)を活用してスケーラビリティ問題を克服する方法も普及しつつあります。ライトニングネットワークとは、主にビットコインのブロックチェーンにおけるトランザクション処理をサポートするための技術です。オフチェーン(ブロックチェーン外)で処理することで、理論値では1秒間に数百万件の決済が可能とされています。
秘密鍵の管理
秘密鍵は暗号資産の本体であり、秘密鍵を他者に知られてしまうと暗号資産を盗まれます。暗号資産取引所に預けていても、しばしばクラッキング被害により、暗号資産が流出する事件が発生しています。
「秘密鍵をどのように管理するのか」という課題も、Web3.0を推進するうえで解決しなければいけません。適切な法規制(Regulation)と技術(Technology)を組み合わせた「RegTech(レグテック)」の発展が必要です。
プライバシーの保護
ある銀行口座から別の銀行口座に送金した場合、その事実を把握できるのは、「送金した者」「受け取った者」「銀行」の3者のみです。部外者は、「誰から誰に、いつ、何円送金したのか」を知ることはできません。
他方、ブロックチェーン上で暗号資産を送金する場合、取引記録(トランザクション)は公開され、誰でも閲覧することが可能です。そのため、状況によっては具体的な人名まで特定されたうえで、送金額などが不特定多数に知られる可能性があり、「プライバシー保護」という観点で課題が指摘されています。
ただし、近年、「ゼロ知識証明(ブロックチェーン上で公開されるデータに送金元・送金先・送金金額といった取引情報を一切記録せず、取引の真実性を証明する技術)」などの活用によって解決されつつあります。
電力を大量に消費する
コンセンサスアルゴリズムとしてPoW(Proof of Work、プルーフ・オブ・ワーク)を採用している暗号資産(ビットコインなど)の場合、マイニングで大量に電力を消費します。地球温暖化問題が深刻化する昨今、「環境への負荷が増大する」という点に関して課題が指摘されていることを認識しておきましょう。
なお、銘柄によっては、PoWからPoS(Proof of Stake、プルーフ・オブ・ステーク)へ移行し、電力消費量を抑制したケースもあります。2024年時点では、イーサリアムのコンセンサスアルゴリズムはPoSへ移行しており、マイニングによる電力の大量消費を回避することが可能です。