未来の教育とAI:ギフテッド教育の展望

寄稿者様ご紹介

幸田 直樹 氏

Gftd Labo代表
高IQ団体METIQ代表

高IQ者認定支援機構理事(最高執行役員)
JAPAN MENSA会員
World Genius Of The Year 2018-Asia
Ivec博士のIQテストTriolex 1st attempt世界記録保持者(2017.10〜)

本稿では、ギフテッド教育とAIの未来像について検討します。我々は2023年にChatGPTをはじめとする大規模言語モデル(LLM)の登場を経験しました。それは多くの人々にとって、遠い未来と思われていたAIとの共生が現実味を帯びた瞬間でした。AIの進化は教育分野において、革新的変化を引き起こします。AIを教育に適切に組み込むことができた国々は、国家繁栄への大きな一歩を踏み出します。教育に投資できなかったカンボジアやナウル共和国の現状が示すように、国家の未来像を定義する最重要事項であることが理由です。

日本の現状

我が国はこの潮流にどう対応するべきでしょうか。また、この潮流に乗ることができるのでしょうか。

まず、日本は学習用データに対する著作権法が比較的寛容となっています。他国に比べて自由にデータを活用し、AIが学習できる法的環境が整っています。この点から、日本はAI技術進化の最先端となる可能性を秘めていると言えます。先日、OpenAI社の創業者であるサム・アルトマン氏が岸田首相との対話のために来日しました。法的制約の大きいEU諸国に比べ、日本でのAI発展への可能性に大きな期待を感じていることが理由と言われています。

「個」の時代の始まり

AIの進化による影響は計り知れません。既にプログラミングの領域ではパラダイムシフトが始まっています。現在、多くのIT企業がAIを用いてコーディング作業を進めています。今まで大規模なチームを必要としていた作業が、少人数のチームで達成可能となっています。この現状は何を示しているのでしょうか。それはAIをマネージメントできる個人が大きな成果を出せる時代が到来していることを示しています。2023年を起点に、ギフテッドの人々や独自の発想力を持つ個人が、革新的なサービスを提供する障壁が下がる、「個」の時代が始まっています。

「個」に対する教育

これを受けて、個々の資質に焦点を当てた教育は重要性を増します。通常の教育では扱いにくいが、高い知的能力を有する、所謂「ギフテッド」に対する教育において、AIは重要な位置を占めるようになってきます。一律的な教育方式ではなく、個々の才能や興味に応じた教育の実施。この点で、AIは理想的なツールとなり得ます。AIを用いて学習システムを構築すれば、各学生の学習ペースや理解度を把握しながら学習カリキュラムを提供することが可能となります。AIはビッグデータの解析を通じて、最も最速、且つ効果的な学習カリキュラムを提供することが可能です。AIによる自動化と個別最適化された教育は、貧困や地理的制約を克服するでしょう。どこにいても誰でも質の高い教育を受けることが可能になります。「個」を強化する教育の裾野が広がれば、当然その頂は高くなります。

教育の未来と変化

産業革命以降の教育は、組織内で従順に労働することを重視し、組織秩序の維持が最優先とされてきました。しかし、個人の時代に突入する今、新たな教育の形が求められています。真のインタラクティブ教育が求められ、各人の資質に合わせた進行速度の教育が必然となるでしょう。もちろんそれが達成できない旧態依然とした教育を実施している国は衰退の道を辿ります。「個」の強化を中心としたAIによる教育改革は、国家の未来を拓く秘鑰となるでしょう。

最後に

我々は新たな時代の幕開けを目の当たりにしています。「個」が過去の組織に匹敵する力を持つことで、進化のクロック周波数は飛躍的に高くなります。未来を担う「個」に対する投資(教育)が来る新世界の勝敗を分けるでしょう。