AIとこれからの教育

AIとこれからの教育
寄稿者様ご紹介

幸田 直樹 氏

Gftd Labo代表
高IQ団体METIQ代表

高IQ者認定支援機構理事(最高執行役員)
JAPAN MENSA会員
World Genius Of The Year 2018-Asia
Ivec博士のIQテストTriolex 1st attempt世界記録保持者(2017.10〜)

AI分野の急速な発展に伴い、多くの人々が「AIが教育に与える影響」について考えているようです。AIが教育に与える影響について、様々な視点での検討が可能ですが、今回は高IQ者やギフテッドの子供たちに焦点を絞ろうと思います。また、更新され続ける”新たな可能性”に振り回されぬよう、本質的な部分について探ってみたいと思います。

まず、高IQ者やギフテッドの子供たちは、一般の子供たちとは異なる教育ニーズを持っています。教科書を読めば5分でわかることを45分間かけて説明される従来型の授業にストレスを感じる子供、実は少なくありません。彼らには一般的なカリキュラムで実施される教育環境より、高度な学習環境が必要だと考えられます。さらに能力の凸凹が大きい場合が多いため、個々の能力や進捗に合わせたプログラムが必要となります。

ギフテッドの子供にとってAIは非常に貴重な教育ツールとなり得ます。AIを先生として利用することで彼らは自分のペースで学び、それぞれの進度に合わせた教育を受けることができるようになります。AIを使って複雑な数学の問題を解き進めたり、科学の知識を深めたり、物理演算を実施して視覚的に物理学を理解できるようになるでしょう。AIによって、彼らは、自分の知りたいことを自由に、最先端まで学ぶことができるようになります。このように高IQ者やギフテッドの子供たちなど、学ぶ意欲が強いにもかかわらず、その解決策が十分に用意されていない者にとって、AIは非常に貴重かつ必要不可欠なものとなっていくでしょう。

 AIを教育に活用する過程で、教育特化型チューニングAIの開発が必要になってくるでしょう。人間がAIに提供する情報を検証し、適切な情報を子供たちへ届けることが重要です。フェイクニュースや不確定な情報、偏見を可能な限り排除したものを教育に投入していく必要があるためです。秩序無き情報の跋扈するインターネットの情報をそのまま利用するのではなく、一度人間の目でチェックする必要があります。人間は一つのフィルターや哲学を通して情報を整理しているため、情報の質や分別にブレが少ない点でAIに勝ります。AIと人間が相互補完することでより良い教育ツールを作り上げることができると考えます。

 先ほども挙げたAIによる教育の利点として「個別化された学習」が挙げられます。AIを活用することで、子供たちは自分のペースで学習することができ、自分のレベルに合わせた教材を提供することができます。これは今までの教育では難しかった点です。高IQ者やギフテッドの子供たちは従来の教育システムでは十分に刺激を受けられないことがあるため、このような学習環境は非常に効果的であると考えられます。

一方、AIを教育に活用することにはいくつかの懸念点もあります。AIが子供たちに与える情報に偏りや偏向が発生する可能性、人間とのコミュニケーションや社交性の欠如など、子供たちが抱える問題が深刻化する可能性などが考えられます。また、AIによる教育では、生徒たちはコンピューターやスクリーンを通して学ぶことになります。そのため、生徒たちのモチベーションが低下や現実世界とのリンクが薄れてしまうことが懸念されます。それでも、AIは、高IQ者やギフテッドの子供たちにとって貴重な教育ツールとなることは間違いないでしょう。

AIによる教育は、全ての子供たちにとって利用可能ではありません。AIにアクセスするためには、コンピューターやインターネットなどの環境、リテラシーが必要となります。そのため、それらとアクセスできない人との社会的格差を広げる可能性がある点に留意する必要があるでしょう。

  最後に、AIは教育全体を見直す良いきっかけとなるでしょう。特に高IQ者やギフテッドの子供たちにとって効果的で必要不可欠なツールとなっていくでしょう。一方、AIによる教育を導入する場合には、学習内容や社会的影響や注意を払う必要があります。AIが従来の教育とともに、多くの人の学習により良い環境を提供してくれることを期待しましょう。