暗号資産の税金について

暗号資産の税金について
寄稿者様ご紹介

柴田 洋 氏

国際公認会計士

監査法人トーマツへ入社後、デトロイト・トゥシュ会計事務所 ボストンOFFICEとデトロイトOFFICEでの勤務を経て、柴田公認会計士事業所を開設し、所長就任。
現在は、柴田国際公認会計士事務所 所長、株式会社ベンチャーコンサルティング 代表取締役を務め、活躍中。

1. 暗号資産の定義

暗号資産とは、紙幣やコイン等の実物通貨ではなく、インターネット上で流通する財産価値を表すデジタル資産です。
紙幣やコインは、中央政府が発行して、中央政府が一元管理します。一方、暗号資産は民間が発行して、採掘者(マイナー)がブロックチェーンを利用して多元的に管理します。

2. 暗号資産の税金

暗号通貨の売買で得た利益には 税金がかかります。税金を払わなかったり、納税が遅れるとペナルティーがあります。

税金の計算は 売却代金から購入代金をマイナスしてさらに必要経費をマイナスして利益(所得)を計算します。所得に税率を掛けて 税金を計算します。 利益(所得)は、1月から12月までの1年間で計算します。計算した税金は、翌年3月15日までに確定申告して納税します。

3. 暗号資産を交換した場合の注意

ここで注意すべき点は、ビットコインからアルトコインに交換する際にも 利益を計算する必要があります。交換する際に 一旦 ビットコインを売ってアルトコインを買った計算になります。手元に 現金の出入りが無くても、いったん入金して 出金したとの経理を行う必要があります。

従ってこの場合は、 ビットコイン交換(売却)した金額と ビットコインを購入した金額との差額が利益として計算されます。

例えば、時価300万円のビットコインを時価300万円のアルトコインに交換した場合、そのビットコインの購入原価が200万円の場合、100万円の利益が出た計算になります。従って、交換の際には納税資金を準備して一部は 手元現金を貯蓄しておく必要があります。  最近 暗号通貨が一時的に暴落しました。翌年に納税する際に、持っているアルトコインを売却して納税資金を捻出去る際に、アルトコインが暴落していると資金が捻出できない事態になります。

4. 税金計算の方法

1,売却金額―購入金額―必要経費=所得
  もしくは 売却価格―購入原価―必要経費=所得

所得に税金がかかります。

収入(売却金額)が300万以下なら 雑所得  (A)となります。
         300万超なら  事業所得 (B)・・・帳簿を作る場合に限定

事業所得は、1年間の収入の合計が300万を超えるかどうかで 判断します。 (2022年12月22日国税庁)

A. 雑所得の計算

売却金額―購入金額―必要経費=雑所得
雑所得+給与所得と合算して総所得を計算する
総所得に税率を掛ける

メリット・・・雑所得が20万円以下の場合 確定申告は不要です

デメリット・・・赤字になっても 給与所得と相殺できません。
        赤字になっても 来期に繰り越しできません。

B. 事業所得の計算

条件:1年間の収入の合計が300万を超える
   帳簿を作ること・・・Gtaxのような 税金計算ツールで計算する

売却金額―購入金額―必要経費=事業所得
事業所得+給与所得と合算して総所得を計算する
総所得に税率を掛ける・・・税率表は別紙

メリット・・・赤字の場合、給与所得と相殺できる
       赤字の場合 3年間 繰り越せる

相続税・・・デジタル遺産

留意点・・・スマホ・PCのパスワードが不明で、中身を確認できない。
      ウォレットのパスワードはさらに複雑で、ウォレットが見つかっても中身を確認できない
      他界した時点から10ケ月して 相続税の申告をしたら半分以下に値下がりして、相続税(55%)を払えない
      10か月して 故人の暗号資産を発見して 多額の相続税と延滞税を払う不幸になることも。

対策・・・暗号資産のパスワードは、家族には知らせておく(貸金庫は現実的でない)
     遺言を書いて、相続人を決めておく